宇宙

2026.03.31 10:30

民間宇宙ステーションの需要見込めず、予算も足りず NASAが老朽ISSに政府所有モジュールの接続を発表

RFI(情報提供依頼)に掲載された政府所有のコアモジュール(c)NASA/JSC

ISS再延長と重複計画

今回の方針転換によって、既存のCLD計画がすぐさま中止されるわけではない。ただし、その実行にはさまざまな課題が残る。第一に、このプランは現状のISSの退役期限である2030年を大幅に超過することを前提としている。米議会は現在、既存のCLD計画による民間宇宙ステーションの開発遅延を理由に、ISSの運用を2032年まで延長しようと法改正に取り組んでいる。しかし、政府所有のコアモジュールが2031年、PCM(パワーモジュール)が2033年に選定されるのであれば、ISSの運用は2030年代後半まで延長されるだろう。

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アメリカ区画(上部)からロシア区画を分離したイメージ (c)NASA(筆者加工)
アメリカ区画(上部)からロシア区画を分離したイメージ (c)NASA(筆者加工)

そもそもISSの退役は、その老朽化に伴うものだ。近年のISSにおける空気漏洩やスラスタ(制御装置)の異常噴射などはロシア区間で発生している。ロシアは2025年12月、そのロシア区画を分離し、新ステーション「ROS」に流用すると発表した。その場合、ロシア区画と比べて健全な状態にあるアメリカ区画のリスクは低減されるが、とはいえ耐用年数は大幅に過ぎている。アメリカ区画を中心としたISSの10年近い再延長に対しては、今後精密な検証が要求される。米国とロシアは現在、双方のプランに基づいてISS延長に関する協議を続けている。

ISSの維持には輸送費を含め年間約30億ドルが投入されているが、これが約10年近く継続されることにもなる。さらに、今回のプランに対して別途、コアモジュールがISSから切り離されるまでに年間25億ドルが投入される予定だ。米政府と議会は、地球低軌道における米国ステーションの不在期間をつくらないことを優先事項に挙げているが、とはいえ、既存のCLD計画と、政府所有のコアモジュールによるプランを重複して進めることが、果たして合理的戦略といえるかは、現段階では不透明な状態にある。

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編集=安井克至

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