リーダーシップは人気投票ではないと教えられていれば、企業はもっとスムーズに運営され、チームはより幸せで効果的になるはずだ。
『The Monk Who Sold His Ferrari(フェラーリを売った僧侶)』シリーズで知られるカナダの作家ロビン・S・シャーマは、こう述べている。「リーダーシップは人気投票ではない。自分のエゴを入り口で置いてくることだ。要諦は、肩書きなしに導くことである」
友人であっても、従業員を客観的に評価しなければならない。リーダーの立場にある者は、より大きな利益に資する意思決定を託されている。それが、心から好意を抱き、気にかけている相手を傷つけることを意味するとしても、である。
避けても解決しない
リーダーシップにおいて、私たちは従業員を終わりのない業績改善計画に載せたり、状況を完全に無視して問題(あるいはその従業員)が自然に消えてくれることを願ったりしがちだ。勇気を振り絞って誰かを解雇したとしても、その退職の発表をオブラートに包んでしまう。去っていく人物は聖人のように描かれる。なぜ辞めたのか、何をしたのか、どんな一線を越えたのか、誰も知らない。
人として、そしてリーダーとして人気を求めるのは自然なことだ。私たちは幼い頃から「うまくやる」ことを教えられてきた。とりわけ今日、学校は平等と受容を重視する。私自身、職場における歓迎や帰属意識を大切にしている。しかし、チームの誰かが成果を出せず、チーム全体と組織を引き下げているときに、真実を覆い隠すことは大切にしない。
実際のところ、あなたが運営しているのはビジネスであり、カントリークラブではない。組織にとって最善であれば、いつでも人間関係から距離を置けるようにしておく必要がある。こうした決断があなたを不人気にするか? 間違いなく、そういうケースもある。しかし多くの場合、長期的にはその従業員にとっても最善の結果となる。
解雇すべき人を解雇すれば不人気になると思うかもしれないが、会社を機能不全の家族のように運営し続けても、人気が上がるわけではない。それなら正しいことをしたほうがいい。
「波風を立てたくないからと安易な道を選び、悪い状況を放置するリーダーは、やがて"憤りの津波"が押し寄せることを覚悟すべきだ」と、Forbes Councilsメンバーのジョー・アルティエリは『The High Cost of Leadership (and Ways to Bring it Down)』で書いている。「扱いにくい人材や無能な人材(ただし非常に忠実)に何度か肩入れしても、しばらくは逃げ切れるかもしれない。だが、その不公正を驚くほど明確に見抜く誠実で勤勉な従業員の間で、不満がくすぶり始めるまでにそう時間はかからない」
代償は高くつく
エンゲージメントを失った人々が組織を去る最大の理由は、給与ではない。あらゆる業界の調査によると、金銭が要因となるのは離職の約10%に過ぎない。健康や家庭の事情が関係するケースもある。パンデミック後の世界では、ワークライフバランスもより大きな役割を果たすようになった。人々が組織を去るのは、上司や同僚、あるいはその両方が原因だ。上司が効果的でない。職場に適切なチーム環境がなく、非効率と機能不全がはびこっている。こうした状況は必然的に、やがて職場を有害なものに変えていく。リーダーがチーム内の個人やチーム全体の機能不全に対して意味のある行動を取らないと、チームメンバーはエンゲージメントを失い、惨めになり、最終的には怒りを抱くようになる。そして去っていく。問題児ではなく、本当に優秀な人材が真っ先にドアに向かう。彼らは、より良い環境、より良いリーダーシップを求めて転職する。しかし多くの場合そうではなく、行き着いた先は、リーダーが人気投票に勝とうとしている組織だった、ということも少なくない。
Forbes寄稿者でGLLGのCEOであるグレン・ロピスは、『Leadership is in Crisis Management Mode』という記事でこう述べている。「リーダーシップは、政治的な意図や隠れた思惑に左右される人気投票ではない。それは特別な特権であり責務であり、自らが常に最善の状態を保ち続けること、継続的に自己投資していること、常に価値を加え、周囲の人々をより良くしていることを担保するために、不断の努力を求める」
CEOとCOOとして20年以上にわたり、私は、約束を守ること、自分自身と退職プロセスに誠実であること、そして去っていく人にも新しく入ってくる人と同じように配慮することについて多くを学んできた。従業員を解雇することは、嫌な人間になることを意味しないし、解雇を武器として使うことは決してあってはならない。リーダーとして人気投票に勝てないかもしれない。だが、まともな人間であり続け、他者を同じ敬意をもって扱うことはできるのだ。



