ニクシーが新製品のローンチを控えていた際、ある主要なオーガニック原料を単一のサプライヤーに依存しているというリスクが露呈した。吹雪によってその業者からの配送に遅延が生じたが、代替手段は存在しなかった。
「オーガニック認証を受けていなければ、他に9つや10つの選択肢があったはずだ。しかし、トラブルが起きたからといって、原料を別のものに置き換えることはできない」とドーズは言う。結果として、製品のローンチは数ヵ月の延期を余儀なくされた。
オーガニック市場のパラドックス
クリーン・ビバレッジ市場が拡大する一方で、懸念すべき逆行現象が起きている。消費者のオーガニック製品への需要が高まっているにもかかわらず、米国ではオーガニック認証を受けた農地面積が近年減少に転じているのだ。ドーズは、その一因として、類似ラベルの氾濫による消費者の混乱を挙げる。「ナチュラル」「非遺伝子組み換え(non-GMO)」「クリーンラベル」といった表示は、厳格な監視を経ていないにもかかわらず、あたかもオーガニック製品と同等であるかのような印象を与えてしまっている。
「市場には類似の認証や表示が氾濫しており、消費者が混乱している。その結果、オーガニックブランドを取り巻く環境は、以前より厳しさを増している」と彼女は言う。
ドーズのオーガニックに対する姿勢は、単なるマーケティング手法を超えた、深い信念に根ざしている。彼女はこれまでに、オーガニック食品がもたらす経済的影響について議会で証言した経験を持つ。彼女は、晩年になって有機農業へと転向したある農家との出会いについて筆者に語ってくれた。その男性は、長年にわたり合成農薬にさらされ続けた結果、がんを患い、余命わずかな状態にあった。「それが、従来の農業の現実だ。私たちが日々の買い物で下す一つひとつの選択が波紋のように広がり、食を支える生産者の人生に影響を及ぼしているのだ」と彼女は静かに語った。
「オーガニック認証の手続きが簡素化されれば助かる。この業界に30年身を置いてきたが、状況は期待したほど改善されていない。それでも、他にどんな選択肢があるというのか」と彼女は述べた。
食料品業界の構造変化
ドーズがニクシーを立ち上げたのは、新型コロナウイルスによって世界経済が混乱に陥るわずか数週間前の2020年初頭のことだった。パンデミックによる混乱は深刻であったが、それは誰もが直面した一過性の試練に過ぎなかったと彼女は振り返る。一方で、より本質的な課題として彼女が挙げるのは、食料品業界における再編だ。地域に根ざした独立系スーパーマーケットは数十年にわたり衰退し、全国規模のチェーンに取って代わられている。
「1970年代には、食料品店の多くが地域に根ざした個人商店だった」とドーズは語る。彼女の母は、健康食品店を営んでいたという。「当時は今とは違い、小規模ブランドは地元の店舗を数軒回るだけで、自社製品の売れ行きを把握したり、本格展開に先立つテスト販売を行ったりすることができた」。
しかし現在では、そうした商品育成の機会はほぼ失われてしまったという。新興ブランドは、いきなり全国チェーンに商品を提案し、売れ行きが実証される前から、ユナイテッド・ナチュラル・フーズのような大手卸売業者を通じて多額の流通コストを負担せざるを得ない。


