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2026.04.01 16:00

あえてリスクを取り大手に勝つ、「無糖・オーガニック炭酸」で飲料売り場を近代化するニクシーの挑戦

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飲料ブランド「ニクシー(Nixie)」の創業者であるニコール・ドーズは、オーガニック認証を受けた無糖の炭酸飲料と炭酸水によって、大手飲料メーカーですらまだ実現できていない変革に挑もうとしている。

今日、米国人の砂糖消費は転換点に差しかかっている。その背景にあるのが、糖尿病治療薬オゼンピックに代表されるGLP-1受容体作動薬の普及だ。現在、米国の成人のおよそ12%がこれらの薬を使用しているとされる。コーネル大学の研究によれば、GLP-1薬の服用者が少なくとも1人いる世帯では、半年以内に食料品支出が平均5.3%減少しており、とりわけ砂糖を多く含む超加工食品の落ち込みが顕著だという。こうした変化の到来を、ドーズは長年にわたり待ち続けてきた。

「スーパーマーケットの飲料コーナーは、プラスチック容器に入った砂糖まみれの飲み物で溢れていた。店内でも最悪と言っていい売り場の一つだった。他の売り場が近代化し、私が大切にしている価値観を反映し始めているのに、飲料コーナーだけが過去に取り残されているように感じられた」と彼女は語る。

ドーズにとって、業界に革新をもたらすのはこれが初めてではない。2019年にニクシーを立ち上げる以前、彼女はオーガニック・スナックの先駆けである「レイト・ジュライ(Late July)」を共同創業し、自然食品ブランドでも大手消費財メーカーと互角に渡り合えることを示した。その後、2018年に同社を大手菓子メーカーのスナイダーズ・ランスに売却したドーズは、この成功で得た成功体験をもとに、彼女が「長らく進化が停滞している」と指摘する飲料カテゴリーの刷新に挑んでいる。

商品乱立の裏で置き去りにされた消費者ニーズ

この10年で、健康志向を掲げる飲料は爆発的に増加した。機能性ウォーターやプレバイオティクス入りの炭酸飲料、天然ハーブを使った炭酸水、さらには多種多様なコンブチャブランドが棚を埋め尽くしている。

しかしドーズは、いまだ満たされていないニッチなニーズが存在すると見ている。それは、無糖でオーガニック認証を取得し、原材料に一切妥協しない炭酸飲料だ(ニクシーは、植物由来の天然甘味料ステビアを使用している)。「私たちは、あらゆる面で不可能と思えるほど高いハードルを自らに課してきた。オーガニック認証の取得も、無糖の実現も、最も難しい道をあえて選んできた」と彼女は笑いながら語った。

この挑戦は、単なる理想の追求にとどまらない。例えば、オーガニック認証の取得はサプライチェーンを複雑化させるため、多くの飲料スタートアップが敬遠しがちだ。さらに、炭酸飲料に使用する原材料は、有機カフェインから天然の有機認証を受けたバニラエッセンスに至るまで、個別の承認と監査をクリアする必要がある。

ドーズは食品・飲料業界で20年以上のキャリアを誇るが、オーガニック認証の取得は容易になっていないという。そのプロセスは依然として長期にわたり、煩雑で、企業にとって困難であり続けている。

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朝香実

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