カタールの液化天然ガス(LNG)インフラに対する攻撃やホルムズ海峡の長引く混乱を受けて、LNG市場全体が激変する可能性が出ている。エネルギーの需要、とくにアジアでの需要を満たすために、LNGの重要性が高まっていることが背景にある。
米国とイスラエルはイランに対する攻撃や圧力を継続し、イランは中東の海上輸送の大動脈であるホルムズ海峡の貨物輸送を引き続き妨害している。こうしたなか、2026年に供給過剰に向かっていたLNG市場は一転、短期的な供給不足、さらには数年にわたる需給逼迫に直面している。
世界のLNG輸送の20%強がホルムズ海峡を通過している。また、イランによるインフラ攻撃でカタールのLNG輸出能力の20%近くが停止した。
その結果、年間1300万トン近くのLNG供給が少なくとも3年間、ことによるとそれ以上の期間失われるおそれがある。調査会社S&Pグローバル・エナジーは、カタールとアラブ首長国連邦(UAE)からの今年のLNG輸出量が合計で3300万トン減少するとの見通しを示している。
同社はさらに、カタールのノースフィールド・ガス田の拡張やUAEのルワイスLNGプロジェクトに遅れが予想されることを理由に、2027年から2029年にかけての年間LNG供給量の見通しも1900万トン引き下げた。
2月28日の危機発生以前、カタールのLNG輸出の4分の3超がアジア向けだった。供給ショックに見舞われるなか、アジアのLNG価格は先日100万BTU(英国熱量単位)あたり25ドルを超え、危機前の10ドル程度から140%強急騰した。
英エネルギー大手シェルのワエル・サワン最高経営責任者(CEO)は、広く予想されているとおり供給の逼迫が続けば、LNG価格は来年にかけて高止まりし、その影響はアジアにとどまらず4月にも欧州に波及すると警鐘を鳴らす。
サワンは先週、米テキサス州ヒューストンで開催されたS&Pグローバル主催の重要なエネルギー会合「CERAウィーク」で登壇し、こう述べた。「影響はまず南アジアを直撃しました。続いて東南アジア、北東アジアへ広がっていき、4月にはさらに欧州にも及ぶでしょう」



