商品のおすすめ情報を誰から得るかには注意が必要だ。ソーシャルメディアのインフルエンサーは、一般ユーザーよりもはるかに有害な形でブランドに関する誤情報を拡散していることが、研究で明らかになった。
ブランドはターゲット層を引きつけるためにインフルエンサーへの依存度を高めており、2025年にはインフルエンサーマーケティングへの投資額が過去最高の330億ドル(約4兆9500億円)に達した。しかし、新たな研究によると、インフルエンサーが形成するコミュニティは、不正確な投稿を支持し、盲目的にブランドを攻撃する傾向があるという。
昨年初め、複数のソーシャルメディアインフルエンサーがTikTokで動画を拡散した。エルメス、ルイ・ヴィトン、シャネルなどの高級ブランドが実際には中国の工場で製品を製造しているにもかかわらず、「フランス製」や「イタリア製」と偽って販売していると主張する内容だった。事実無根であったにもかかわらず、これらの動画は数百万回再生された。
研究の筆頭著者であるジャンドメニコ・ディ・ドメニコ博士は「我々の調査結果は、インフルエンサーが一般ユーザーよりも多くの有害性を生み出していることを示している。彼らの知名度や影響力を高めるのと同じ条件下で、そうしたコンテンツが増幅されているのだ」と述べた。
研究チームは、有害性が高まる理由について次のように分析している。一般のソーシャルメディアユーザーは誤情報を拡散すると通常、反論や攻撃を受けるため、会話をより穏やかな方向に導き、誤った情報を訂正しようとする動機が生まれる。一方、インフルエンサーには逆のインセンティブが働く。エンゲージメントが増えるほど収益が上がるからだ。
「一般ユーザーの不正確な投稿は指摘され批判されることがあるが、インフルエンサーがコミュニティと築く独特の疑似社会的な絆により、これらのグループはその真偽を検証することなく、アイデアを支持する可能性がはるかに高くなる」とディ・ドメニコ博士は説明する。
「つまり、これらの投稿は単に注目を集めるだけでなく、分散した個々の反応を、信念に基づく集団的な敵意へと変容させる。こうした関係性の中で導入された誤情報は、より大きな影響力を持ち、害を及ぼす可能性が高まる」
研究チームによると、ここでは2つのことが起きている。1つは「正当化」で、インフルエンサーが理論に重みを与えること。もう1つは「コミュニティの絡み合い」で、そのコミュニティがその理論を支持して結束することだ。この2つが組み合わさることで有害なエコーチェンバーが生まれ、信頼性と疑似社会的な絆が「集団的な敵意」へと転換される。エンゲージメントが増加するにつれ、その影響は螺旋状に拡大していく。
「これらの投稿は単に注目を集めるだけでなく、分散した個々の反応を、信念に基づく集団的な敵意へと変容させる。こうした関係性の中で導入された誤情報は、より大きな影響力を持ち、害を及ぼす可能性が高まる」とディ・ドメニコ博士は述べた。
「一部のインフルエンサーに投稿の責任を持つよう説得するのは難しいかもしれない。エンゲージメントが高まれば収益も増えるからだ。高いエンゲージメントを維持するインセンティブがあるため、誤情報のような分断的で、偏向的で、感情を煽るコンテンツを共有することは、明確なビジネス戦略となり得る」



