ヘルスケア

2026.03.30 08:30

大気汚染が認知症の原因に? 米研究が示唆

Shutterstock

Shutterstock

米科学誌PLOSに掲載された論文によると、大気汚染が認知症の一種であるアルツハイマー病のリスクを高める可能性があることが判明した。65歳以上の米国人約2780万人を対象に18年間にわたって調査を行ったところ、微小粒子状物質「PM2.5」への暴露がアルツハイマー病の発症率の上昇と関連していることが明らかになった。同研究では、大気汚染への暴露が、高血圧、うつ病、脳卒中の発症率の上昇と関連していることも示された。これらはいずれも認知症の独立した危険因子だ。

advertisement

認知症は近年、公衆衛生上の緊急事態として認識されるようになってきている。実際、向こう30年間で認知症の罹患率は世界全体で2倍になると予測されており、患者の受け入れ体制の拡充や、研究・治療への資金投入の強化が急務となっている。さらに、世界的に高齢化が進む中、加齢に伴う記憶障害や機能障害の発生率が増加している。

他方で、大気汚染も世界中で急速に深刻化している。昨年の研究によると、世界の大気汚染率は「最高水準」を超えており、それ自体が深刻な緊急事態であることを示している。「汚染」という用語は、大気中に放出される天然の物質と人工的な物質の両方によるものを指す。大気汚染はここ数十年で特に注目を集める問題となっており、各国政府や企業は産業の成長との均衡を取りながら、二酸化炭素排出量と汚染の抑制に取り組んできた。産業の成長は現代社会の発展の重要な要素だが、環境活動家は、世界的な工業化が人々に甚大な害を及ぼし得る環境汚染の主な要因になっているとして警鐘を鳴らしている。

実際、テクノロジー分野の急速な成長に伴い、責任ある開発の方法に対する理解も深まりつつある。クラウドコンピューティングやデータセンター、迅速な情報交換、世界的なネットワーク接続の普及に伴い、電力消費量が急増し、炭素排出量や環境汚染も増加している。科学分野の研究開発の促進、通信網の整備や農村部の接続性の向上、さらにはこれまで十分な支援を受けられなかった層の識字率や教育水準の向上など、技術の進歩によるプラスの側面がある一方で、大気汚染は紛れもなく、それに並行して悪化している問題だ。

advertisement

米肺協会(ALA)が昨年発表した報告書によると、米国人の46%に当たる1億5610万人が、汚染レベルが基準値を超え、不適格と評価された地域に住んでいることが明らかになった。この数値は前年と比較して2500万人近く増加しており、急激な拡大を浮き彫りにしている。さらに、アルツハイマー病との関連性を示唆する今回の研究結果をはじめ、大気汚染が人間の生理機能に及ぼす悪影響に関する研究が進むにつれ、人々は可能な限り、自分自身を守る方法を意識しておく必要がある。

では、汚染物質への暴露を減らすために、私たちができることを紹介しよう。

● 環境に優しい交通手段を利用しよう。自動車の排気ガスは依然として主要な汚染源だ。可能であれば、公共交通機関を利用したり、相乗りしたりするなどして、自動車からの排気ガスを低減しよう。
● 大気汚染が深刻な地域ではマスクやフェイスカバーを着用し、大気中の有害な微粒子への暴露を減らそう。
● 可能な限りエネルギー消費を抑えよう。これには、環境に配慮して開発された省エネルギー型の機械や車両への投資も含まれる。
● 植物を植え、緑を増やそう。植物は汚染物質を浄化し、新鮮な酸素を放出し、二酸化炭素を吸収する。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事