会議は組織生活でもっとも身近な儀式の1つであると同時に、もっとも広く批判され、嫌われてもいる。誰にでも、参加したくない定例会議がカレンダーに1つはあるはずだ。おそらくメールで済む内容であるにもかかわらず、である。とはいえ、広範な不満があるにもかかわらず、会議は企業生活の定番であり続けている。Your Best Meeting Ever: 7 Principles for Designing Meetings That Get Things Done(邦訳未定)の著者レベッカ・ハインズによれば、問題は単に会議の設計が拙いことではない。そもそも組織が、会議では扱うことを想定していない問題を解決するために会議を使ってしまうことにある。
さらに、会議設計の不備は不便なだけではない。企業目標への前進を、いくつもの見えにくい形で阻害し得るのだ。会議がビジネスを積極的に損ないうる「巧妙」な4つのパターンを挙げよう。
1: 会議は「誤った行動」を報いる
会議は「可視性バイアス」を増幅させる。可視性バイアスとは、観察しやすいものの重要性を過大評価してしまう傾向のことだ。「私たちは、見えることを価値と結びつけるようにできています」とハインズは言う。「しかし、多くの仕事は目に見えない。誰かが深く考えているところを目で捉えるのはとても難しい。一方、会議は非常に見えやすい。だから価値があるものだと結びつけてしまうのです」
言い換えれば、会議は職場における一種のステータスシンボルになっている。従業員が有用性を内心では疑っていても、会議が組織の中で増殖しがちな理由はここにある。会議に参加することは、そこに関与していること、影響力、重要性のシグナルになり得る。意味のある意思決定が行われているかどうかとは無関係に、である。
2: 会議が「進捗」の代替指標として使われる
「従業員が自分の仕事と全体像のつながりを理解できるよう支援するうえで、組織の明確性が乏しいほど、人は会議を使って進捗や生産性を示そうとします。会議で重要なことが何も起きていなくても、です」とハインズは言う。
典型例が、定番のステータス更新である。表面的な進捗を示すための、最も確実な方法だ。「会議にステータス更新の要素があるからといって、そのステータス更新を会議の中でやる必要があるとは限りません」とハインズは言う。あなたのチームに、実態として「過剰に飾り立てたステータス更新」にすぎない定例会議があるなら──ここには、マネジャーとチームメンバーの1on1も含まれる──カレンダーから外すことを検討すべきだ。
3: 会議は最もコストの高いコミュニケーション手段である
会議は、とりわけ資源を食う。特にプロフェッショナルサービスのように、従業員に時間単価の請求レートがある業界では顕著だ。複数のシニア人材が同じ部屋に集まり、オフラインで処理できる話題を議論しているとき、組織にどれほどのコストが発生しているかを想像してほしい。「同時に2人が会議室にいることを必要とするコミュニケーション手段は、ほかにありません」とハインズは言う。「会議の機能不全は、会議を情報交換の場として使ってしまうことから生まれます。会議は情報交換のためのものではないのです」
4: 会議が権力格差を強化することがある
会議は、企業内で権力、信頼、意思決定がどう機能しているかを多く示す。そして権力格差が存在する場合、会議はその格差を悪化させうる。「会議は、組織内の権力と地位の力学がはっきり表れる場です。それは何十年も前から指摘されています」とハインズは言う。「会議室のレイアウトを考えてみてください。誰がどこに座るのか。誰が上座に座るのか」
発言時間も、権力の力学を増幅させる大きな要因である。「発言時間の平等は、私たちが持つチームパフォーマンス予測因子の中でも最重要の1つです。発言時間に偏りがあると、ただ不快なだけではありません。部屋にいる人たちに対する私たちの認知を、実際に歪めてしまうのです。さらに研究では『バベル仮説』と呼ばれる現象も示されています。会議で話す量が多いほど、何を話しているかにかかわらず、その人はリーダーだと認識されやすいのです」
加えて、従業員は会議中のリーダーの振る舞いを注意深く見ている。リーダーの態度が悪ければ、会議の心理的安全性が損なわれ、それが結果にも影響する。「会議の最も重要で価値ある機能の1つは、健全な議論を促すことです」とハインズは言う。人々が率直に意見を言うのを恐れているなら、その健全な議論は起きない。
会議設計の見直しは、この悪習慣を排除することから始めよう
これほど深く根付いたインフラの変更は、一朝一夕には実現しない。現状の会議設計と構造に対して、たった1つだけ変えるべき点を優先するよう求められたとき、ハインズは躊躇しなかった。「問題解決のデフォルトの手段として会議を使う、私たちの怠惰な習慣を排除します」



