いまテック業界で大きな話題になっている。Microsoftが、企業向けの商用Copilotと個人サブスクライバー向けCopilotの双方を、同じ人物が統括する体制にしたというのだ。複数の報道によれば、この統合が行われた理由は、ソフトウェアの後続バージョンで「超知能」を追い求めることにあるのかもしれない。
「MicrosoftはCopilotと、より広範なAIスタックをめぐって大規模なリーダーシップおよび組織の刷新を進めている。消費者向けと商用のCopilotの取り組みを単一チームに統合し、Microsoft AI責任者のムスタファ・スレイマンが今後5年間、最先端の『超知能』モデルを構築することに集中できるようにする」とMicrosoft News Nowのデイブ・シャナハンは書いている。「これらの変更は、分立したCopilot製品の集合体から、アプリ、ワークフロー、プラットフォームを横断する、より一貫したエンドツーエンドのエージェント型システムへとMicrosoftを移行させるためのものだ」
CEOのサティア・ナデラは、同社ブログでの発表の中でこれを直接述べている。
「私たちには、顧客がより高付加価値な仕事に費やす時間を増やし、手作業による調整を減らすと同時に、人々により大きな主体性と権限をもたらし、組織には必要なガバナンスとセキュリティの管理機能を提供する機会がある」
さらにナデラは、より知的なモデルへと取り組みを向ける必要性についてこう述べる。
「AIモデル層の進歩は、今後10年間の当社の成功にとってこれまで以上に重要であり、その上に構築するあらゆるものの基盤である。私たちは、評価、COGS(売上原価)の削減、そして企業ニーズに応えることや次の研究ブレークスルーを実現するうえで最先端を前進させることといった観点から、真の製品インパクトをもたらすモデルを構築するための人材と計算資源をもって、超知能というミッションにいっそう注力する」
三頭体制:AIの人員配置
リーダーシップの刷新という点では、CEOのナデラに加え、ナデラが統合プロジェクトの責任者に据えるEVPのジェイコブ・アンドレオウ、そしてAI業務に関わってきた別のVPであるムスタファ・スレイマンがいる。
「私は、何百万人もの人々に変革的で前向きな影響をもたらす超知能を創り出すという最重要の使命をもってMicrosoftに来た」とスレイマンはオンライン発表への自身の寄稿で説明している。「そのためには、可能性の境界を押し広げながら、スケールして最先端モデルを構築する必要がある。それ以外のことはすべて、ここから派生する。これが当社の未来の基盤だ。長期的かつ野心的な最先端スケールの計算資源ロードマップが固まったいま、私たちには真にSOTA(最先端)のモデルを構築するために必要なものがすべてそろっている」
一方のアンドレオウは、Snapで約8年を過ごし成長担当のSVPを務めた後、Greylockでゼネラル・パートナーを務めていた人物だ。
「このAIコンパニオンを本当に定着させる取り組みの中でこそ、実感できる」と彼はインタビューで、Copilotの技術に触れながらそう語った。
スレイマンとアンドレオウに加え、報道ではライアン・ロスランスキー、ペリー・クラーク、チャールズ・ラマンナの関与の可能性も挙げられている。
新たなモデル、新たなシステム
要するに、Copilotは間もなく、つまり、強くエージェント型へと進化しようとしているのだ。
「顧客とパートナーにとってメッセージは明確だ」とシャナハンは書く。「Copilotは機能の寄せ集めではなく、統合システムとしての見た目と使い勝手がますます強まっていくと見込むべきであり、Microsoftの基盤モデルも、同社が最先端の計算資源と研究ロードマップに傾注するにつれて、急速に進化していくと見込むべきだ」
議会におけるCopilot利用への立法面での青信号
もう1つの大きなニュースは、米議会のスタッフが職場でCopilotのようなツールを使用できるようにするメモが出たことだ。
この発表では、「Copilot ChatはMicrosoftの安全な政府クラウド上で動作し、連邦政府および上院のサイバーセキュリティ要件を満たす」と主張している。
そして民間部門では、Copilotでの強みやその他の要素を踏まえ、Microsoftの立ち位置を評価するアナリストもいる。
「私たちは、Azure、M365、Copilotにまたがるエンドツーエンドのプラットフォームに加え、比類なきエンタープライズ向け流通と強固なバランスシートを基盤として、企業のAI支出を集約していくうえで、MSFTが他にないほど有利な立場にあるとみている」——Business Insiderが3月6日に引用したJefferiesのアナリストはそう記しており、株式の「恐怖の連鎖」の後にはMSFTが「買い」になり得ることも示唆している。
総じて同社は、米国テック市場のトップに位置する優良株の領域でも十分に競争力を保てる態勢にあるように見える。業界でこれから起こり得る「椅子取りゲーム」においても、Microsoftの席は安泰なのかもしれない。



