リーダーシップ

2026.03.29 21:56

AIはCEOを支援できるが、代替はできない

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業界を問わず、CEOは人工知能に大きく賭けている。米国の企業は、AIが労働力を揺さぶり、職場を変革すると強気に見ており、そう口にしているのはシリコンバレーだけではない。

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Cレベルの面々は言うことは立派だが、実際に行動しているのか。CEOやCFO、上級幹部の多くはAIの利用が週1時間未満にとどまる。約30%はAIをまったく使っていない。

これは機会損失であり、広く見られるAI強気の見方を踏まえると、やや意外でもある。データ、データ、そしてさらなるデータを重んじる経営層にとって、AIほど優れた技術はない。意思決定者は、歴史的にどの経営陣よりもはるかに多くのシグナルを処理できるようになる――より多くの数値を、より短時間で分析できるのだ。社内データや外部の市場調査から、決算説明会、SNS上の会話、顧客のフィードバックまで、事実と数値をほぼリアルタイムで統合できるようになり、ビジネスリーダーは市場や消費者行動の変化をはるかに迅速につかめる。

無数のシミュレーションを走らせることで、AIは景気後退から顧客の反発まで、事実上あり得るほぼすべてのシナリオを描き出せる。そして、それらはすべて記録される。AIシステムはいまや組織の記憶の中核となり、基本的な人工知能を高度な組織知へと転換している。今日のAIは、組織の「検索可能な脳」として実質的に機能し得る。知識がスライド資料や受信箱、あるいは個々のCEOの頭の中に眠るのではなく、何年分もの文書や調査、顧客のフィードバックに対して問いを立て、何がうまくいったのか(あるいはうまくいかなかったのか)を突き止め、次に何が起こり得るのかを予測することが、かつてないほど容易になった。

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それでもなお、多くのCEOは職場でAIを受け入れることに二の足を踏んでいる。

なぜか。仕事のあまりにも多くの部分が、昔ながらのやり方でこなされなければならないからだ。私たちは無菌的なシミュレーションの中で働いているのではない。現実の人々に囲まれた、動的なオフィスで働いている。

曖昧な局面や危機対応のような場面での判断に関して、AIが必ずしも最適な「人物」であるとは限らない。AIは結果をモデル化できるが、データが不完全だったり相反していたりする状況で、いつ、何を決め、どう対応するかはCEOが決めなければならない。迅速な戦略転換、企業文化に関する判断、M&A、レイオフといった最も難しいリーダーシップの局面は、依然として人間の判断に依存している。

人間的な要素もまた、言うまでもなく人間の判断に依存する。取引の成立、提携の構築、上級幹部の採用、取締役会での力学の読み解きは、いずれも深く社会的な営みである。そこでは高い水準の感情知性が求められる。信用、共感、信頼は、アルゴリズムではなく関係性によって築かれる。

企業やその他の組織が一定の方向へ動くのは、人々がその方向を信じるからである。私たちは望ましい結果を定め、成功へ至るプロセスを整える。AIは市場分析を助けられるが、企業がなぜ存在するのか、そしてなぜ存続し続けるべきなのか――「何を」や「いつ」を超えた「なぜ」を、真正面から語ることはできない。ミッションのもとに、社員や投資家、その他のステークホルダーを結集させることもできない。

AIが情熱やチームワーク、人間の野心を置き換えることはなく、おそらく今後もないだろう。だが、歴史上最も強力な技術の1つをCEOが避ける理由はない。最良のCEOとは、AIを採り入れつつ、その過程で自らの人間性を見失わない実践者である。

forbes.com 原文

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