Will Fan(NewCampusのHead of School)。Open Campusのカウンシルメンバー。東南アジアで13万人超の学習者と、EdTech領域のポートフォリオ企業140社以上を支援している。
長年、スタートアップの助言は創業者に「舞台裏にいろ」と語ってきた。素晴らしいプロダクトをつくり、優秀な人材を採用し、賢い資本を調達し、仕事そのものに語らせよ――というわけだ。だが、いまはそれでは足りない。世界はあなたのプロダクトを使いたいだけではない。誰がそれをつくり、なぜつくったのかを知りたがっている。この変化により、成功する創業者がクリエイターでもあるという新しい時代が到来した。
このアプローチの「手本」を示しているのが、AirbnbのCEO、ブライアン・チェスキーだと私は考える。チェスキーはAirbnbのブランドボイスだけに依拠せず、自身のソーシャルチャンネルを通じて顧客とコミュニケーションを取っている。2016年末、チェスキーはTwitter上で翌年に同社に何を期待するか、世間に直接意見を求めた。返信は1,000件を超えた。
こうした場面でリーダーが築ける信頼は、個人のブランドにとどまらず、企業の信頼性へと直接還流する。そしてこれは上場企業だけの話ではない。多くのアーリーステージの創業者も、個人の声を使って雑音を切り裂こうとしている。
コンテンツが新たな流通網になる
イーロン・マスクを考えてみよう。新製品の立ち上げであれ、顧客のフィードバックへの対応であれ、彼のリーチは強力なメディアエンジンとして機能する。
そしてこの潮流は、男性中心というわけでもない。サステナブルなアクティブウェアブランド「Tala」の創業者グレース・ビバリーは、個人のInstagramを通じて熱心なコミュニティを築くことで、当初から会社を成長させてきた。彼女は自身の仕事や目標について率直に語り、『Vogue』にこう話している。「ソーシャルメディアでTalaについて話すとき、友人に話しているように話す」。本物の姿を見せることは信頼を生み、その信頼は収益へと変わり得る。
より長尺の手法を取るリーダーもいる。インタビューやポッドキャストを通じて関与するのだ。可視性を高めるうえで有効な方法になり得る。とりわけ「Spotifyユーザーで動画ポッドキャストを視聴する人数はいま、音声ポッドキャストよりも速いペースで増えている」のだから。
多くの創業者が理解しているのは、これである。プロダクトローンチとプレスリリースで飽和した世界でも、人は依然として物語を求めている。とりわけ、最前線にいる当事者の物語を。
アジアが声を上げる番
私は、アジアの創業者の多くが目立たない姿勢を取り、個人の脚光よりも集団としての成長を強調する傾向を見てきた。だが、これは変わりつつある。東南アジアが急成長するテックハブとなるなか、グローバルの顧客や投資家を引きつけるため、コンテンツをより戦略的に活用し始めるローカルCEOも出てきている。
例えばGrabがNASDAQで上場した際、共同創業者のアンソニー・タンが、Forbes Asiaの独占インタビューで率直に語るなど、同社についてより積極的に発信するようになったことに気づいた。彼の存在が、地域外の多くの人々には十分に理解されていなかった複雑なビジネスに、輪郭と質感を与える助けになったと私は考える。
アジアの内外で事業を展開する創業者にとって、姿の見えるCEOは橋を架けるうえで役に立つ。文化と文化の間に。チームとチームの間に。ユーザーとブランドの間に。黎明期の市場では、創業者の声が差別化要因となる。信頼性のレイヤーとなる。誰もあなたの会社名を知らないとき、人はあなたを信じられる。
これから:創業者がファネルになる
これは、すべての創業者が専業のコンテンツクリエイターになる必要があるという意味ではない。だが、会社を本気でスケールさせるつもりなら、コミュニケーションを中核のリーダーシップスキルとして扱うべきである。
バズる必要はない。明確で、一貫していて、ありのままであることに集中せよ。週1回LinkedInに投稿する。初期のプロダクトスケッチを共有する。課題についてオープンに話す。顧客とポッドキャストを収録する。社内からしか語れない物語――会社の内側からの物語を、自分のプラットフォームで語るのだ。
公開の場でつくることは、虚栄のためのゲームではない。レバレッジである。流通である。初期の採用を引き寄せ、懐疑的な投資家を納得させ、顧客との本物の感情的なつながりを生む方法である。



