欧州

2026.03.30 08:00

国内外で苦境に立つプーチン露大統領、中東の混乱だけが救いの綱か

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2026年1月27日撮影(Contributor/Getty Images)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2026年1月27日撮影(Contributor/Getty Images)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による隣国ウクライナに対する容赦ない軍事作戦や国内での政治権力の強化、中国や米国との関係強化に向けた慎重な取り組み、そして絶え間ない世界的なプロパガンダ活動を見れば、同大統領が相当な勢いに乗っていると考えるのも無理はない。

だが、その認識は、戦場での相次ぐ圧倒的な敗北や、向こう数年間で確実に悪化するであろう国内の経済動向を見れば崩れ去る。実際、現在のプーチン大統領にとって最大の強みは、イラン情勢の混乱だ。これにより、世界のエネルギー価格が急騰し、低迷するロシア経済に思わぬ利益が舞い込んでいる。中東情勢の混乱は、北大西洋条約機構(NATO)の関心をウクライナからそらし、米国と欧州の同盟国との間に亀裂を生じさせている。

ウクライナ侵攻に伴うロシアの損失

ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始してから4年が経過し、同国南部のクリミア半島を一方的に併合してからは12年が経過した。米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」によると、ロシアは現在ウクライナ領土の約20%を占領しているが、ここ数年、前線はおおむね膠着(こうちゃく)状態にあり、戦況は現代の紛争というより第一次世界大戦をほうふつとさせる。

米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」によると、ロシア軍は2022年以降、約120万人の死傷者を出し、うち約32万5000人の兵士が戦死している。参考までに、1950年代後半~70年代初頭にかけて、米国はベトナム戦争で約5万8000人の兵士を失った。

ロシアの兵器備蓄は壊滅的な打撃を受けており、報道によると、1万両以上の戦車や装甲車、3万基以上のミサイル発射装置、数百機の戦闘機、そして名高い黒海艦隊の約3分の1を失ったとされる。

ロボット技術や自律型ドローン(無人機)の活用でウクライナ軍が驚異的な革新を遂げていること(ウクライナは今年だけで400万台近くの機器を製造すると見込まれている)を踏まえると、ロシアには作戦に先立って兵力を集結させる力が欠如しており、新たな領土を奪取し占領する能力は完全に停滞している。

実際、ロシア軍は春から夏にかけての攻勢を開始する段階にあり、その一環として最近、ウクライナの都市や社会基盤に対し、1000回近くに及ぶ無人機攻撃を仕掛けた。一方、ウクライナ軍はここ数週間、南部と東部の領土を奪還することで、ロシアの攻勢を未然に防ごうと積極的に動いてきた。ロシア軍の訓練や後方支援、士気、対無人機技術の構造的な欠陥は、領土の大幅な拡大を制限するかもしれない。

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翻訳・編集=安藤清香

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