ロシアのメディアは一貫して女性無人機操縦士について肯定的な印象を伝えているが、ともすると、それは見下したような態度に映ることもある。女性無人機操縦士を取り上げたロシアのニュース記事の1つは、「彼女たちはボルトとネジの見分けもつかないかもしれないが、山間の峡谷をくぐり抜けるように無人機を操縦することはできる」と切り出している。
また、別の記事に登場するある女性無人機講師は、「女性の方が運動技能に優れているから(無人機の操縦が)簡単なのだ。私たちは縫い物や編み物ができるのだから」と説明している。この記事は、訓練中の迎撃機操縦士について、「家を守る」という伝統的な女性の役割を結び付けている。「これらの部隊が最前線に配置されることはない。敵が無人機を使って攻撃しようとする中、同部隊はわれわれの後方を守り、国境の町の上空を守っている」
ロシアでは、母親を対象に無料の無人機講習が提供されており、学校での義務的な軍事訓練でも、無人機の組み立てや操縦に関する授業に女子生徒が参加するようになった。これは、女性無人機操縦士の数を増やすための組織的な取り組みのようだ。
保守的思考がロシアの弱みに
だが、こうした取り組みは、根強く定着した考え方に逆らうような困難な道のりとなっている。ベンデット上級研究員は「概して、ロシア社会は伝統的な価値観を重んじており、性別役割や態度、慣習が明確に定められている」と指摘する。
ここ数十年の間に欧米社会は自由化が進み、女性が多様な役割を担うことが広く受け入れられるようになってきた。まさにこれこそが、ロシアのナショナリストが反対している点だ。こうした勢力は、西側諸国は退廃的で不道徳であり、ロシア正教会とは相容れないものと見なしている。
政府は伝統的な価値観を守ると主張しながら、同時に女性の戦闘任務への登用を推進しようとすることはできない。ベンデット上級研究員は、どちらが勝つかは明白だと考えている。「(プーチン大統領の側近である極右民族主義者の)アレクサンドル・ドゥギンをはじめとする伝統主義者や保守派が今日のロシア社会で影響力を強めていることや、ロシア政府が国民に特定の行動を強要するために宗教を利用していることを考慮すると、軍に所属する女性無人機操縦士はごく少数にとどまるだろう」
そうなると、ロシア軍は今後も有能な無人機操縦士の半数を排除し続けることになる。ちなみに、これはイランにも当てはまる。少なくとも、これはウクライナにとっては朗報だ。


