セントルイス連邦準備銀行の研究では、「利用頻度」の重要性にも着目している。仕事で毎日AIを使用する人の33.5%が週に4時間以上の時間を節約できたのに対し、週に1日しか使用しない人では、その割合はわずか11.5%だった。つまり、毎日使うかときどき使うかの違いは単なる頻度の問題ではなく、こなせる仕事量も左右することになる。
よって今考えるべきは「AIに仕事を奪われるか」ではなく、より建設的に、あなたの仕事のどの部分が境界線の内側にあり、どの部分が外側にあるのかを見極めることだ。
あなたを「できる仕事人」に変える、4つのAI習慣
まず行うべきは、仕事内容の「棚卸し」だ。仕事を1つのまとまりとして捉えるのではなく、活動を細分化し、リストアップしてみよう。それらを、繰り返し行う定型的なタスク(定型メールの作成、会議メモの要約、データの抽出など)と、高度な判断力や対人関係の調整、文脈に基づく専門知識を必要とするタスクに分ける。そして前者は可能な限りAIに任せ、後者は意図的に自分で行う。なぜなら、そこにあなたのキャリアの長期的な価値が宿っているからだ。
次に、情報源を広げること。AIの懐疑論や楽観論に時間を費やすのではなく、AIを現場で実際に活用している人からの情報収集に時間を使おう。たとえば自分の分野で先を行く同僚に、今週どのAIツールが時間の節約に役立ったのか、またどの分野で役立たなかったのかを尋ねてみるといい。あなたと同じような仕事をしている人の実体験から得られた情報は、コンサルタントの10年予測よりもはるかに価値がある。
そしてAIを使う前に、まず自分自身で考えること。仕事の指示を入力する前に2分間、自分の考えを書き出したり、ラフ案を描いたりしてみよう。この習慣をつけることで、AIに振り回されるのではなく、自分自身が判断の主導権を握れる。また、AIを多用する人にとって大きなリスクとなる、分析力の衰えを防ぐことにもつながる。
最後に、人との関係にしっかり向き合うこと。AIによって情報が安価になり、コンテンツが豊富になるにつれ、信頼と評判が希少な資産となる。本物の関係を築き、難しい交渉を巧みに進め、専門分野で信頼を積み上げていく能力こそ、まさに「境界線の外側」に位置するものだ。これらには、AIがどのように進化しようとも、意図的に投資する価値がある。
AI時代に「勝ち組」になる人とは?
いつか振り返って「あの頃が転機だった」と思える人は、今、AIの懐疑論・楽観論などに気をとられてはいない。AI時代の勝ち組とは、自分の仕事のどの部分をAIに任せ、どの部分をみずから行うべきか、そして両方をどう高めていくかを冷静に見極めている人々だ。懐疑論や楽観論に比べると地味な話だが、これこそあなたの未来を変える重要なアクションとなる。


