米戦略国際問題研究所(CSIS)は1月、2022年2月のウクライナ全面侵攻以来、ロシア軍が被った人的損失(戦死者と戦傷者、行方不明者)は約120万人にのぼるとの推計を公表した。現在の戦場では多くの場合、兵士らの生死を分けるのは詰まるところ「土」による防護に帰着する。2025年夏、筆者は前線のウクライナ軍ドローン(無人機)部隊に同行取材した際、それを目の当たりにした。わたしたちの陣地はロシア軍の砲撃やドローン、滑空爆弾で次々に攻撃された。
話を聞いたウクライナ軍のドローン操縦士たちは、ロシア兵らは隠蔽された地点をひとたび離れると、たいていは数分以内に発見され、攻撃されると語った。少人数の歩兵部隊が何度も偵察に送り込まれるが、陣地間の開けた土地は「キリングフィールド(殺戮地帯)」と化している。
ウクライナのミハイロ・フェドロウ国防相は1月の記者会見で、2025年12月だけでウクライナ軍はロシア軍の人員約3万5000人を殺害するか重傷を負わせたと述べた。ロシア軍の損耗人数を月5万人に引き上げることを目指しているとも明らかにした。
防御線を維持するうえで重要なのはドローンだけではない。防御側にとって作戦行動のための生存可能な拠点になっているのは、空を飛ぶドローンの下に張り巡らされているものだ。塹壕やトンネル、遮蔽された戦闘陣地からなる隠されたネットワークである。
OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのアンドルー・パーペチュアは、現代戦では継続的な築城が求められるので、各大隊に掘削機が少なくとも1台必要だとソーシャルメディアに書いている。2022年以前、ロシアの軍事ドクトリンでは、開けた地形での機動的な装甲攻撃が重視されていた。アナリストたちによれば、それはこの戦争の初期の作戦計画も方向づけた。
だが、断固とした姿勢で反撃してくる敵に直面した場合、機動力だけでは不十分だ。パーペチュアは、戦場は以前よりも格段に危険になっており、生き延びられるかどうかは壕を掘って身を隠せるかにかかっていると言う。こうしたなか、この戦争で地味だが不可欠な装備になっているのが掘削機だ。



