ウクライナ陸軍第47独立機械化旅団の元将校ミコラ・メリニクは、筆者のインタビューでこう語った。「(ロシアは)滑空爆弾を量産していて、それを用いて突破を図ろうとしています。われわれの防御体制に穴を開けて、その隙間から歩兵を押し込むというやり方です」。メリニクは、こうした隙間ができるだけ生じないように、築城は深く、かつ十分に掩蔽して構築する必要があると続けた。
対戦車壕やいわゆる「竜の歯(戦車などの車両の進行を阻むための四角錐のコンクリート製障害物)」、鉄条網などからなる多層的な障害網は、ロシア軍の前進を完全に止めるものではない。むしろ進路を制御し、攻撃側をあらかじめ設けた「キルゾーン(撃破区域)」に誘導するものだ。そこではウクライナ側のドローンや火砲、遠隔兵器が、味方を危険にさらさずに火力を集中できる。
アナリストらによると、ウクライナ軍は2024年の東部ドネツク州トレツクや北東部ハルキウ戦線の一部など、築城がうまくできなかった方面で大きな損害を被っている。ボランティアの募金活動で、より効果的な防御陣地の構築を支援しようと小型の掘削機を対象としたものが増えているのも、こうした事情と関係している。結局のところ、ショベルこそ多くの命を救うものなのだ。
在米のウクライナ支援団体で、掘削機などを送るための募金活動を行っているリバティー・ユークレインの共同創設者、トーニャ・レウチュク事務局長は筆者の取材に「FPV(一人称視点)型などのドローンや滑空爆弾がひっきりなしに上空を飛び交うので、塹壕はこれまで以上に深く、強固にし、適切に偽装しなければいけません」と述べた。「手作業でそれをやるのでは単純に遅すぎます。スピードが命を救うのです」
不足は深刻だ。「掘削機があれば、手作業なら数日から数週間かかる作業を代替できるので、部隊は迅速に陣地を強化できます」とレウチュクは言う。「多くの機械は常時使われるので故障します。そのため、わたしたちは掘削機自体に加え、予備部品や修理部品も送り続けています。機械が1台でも稼働していれば、人間数十人分の作業をこなせます」


