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2026.03.31 11:30

AIにより「若手が実務経験を積む機会」激減、企業はどう対応すべきか

Shutterstock.com

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AI(人工知能)によって、若手を育成する業務が消滅しつつある。

新人向けの職務は、業務を処理することだけがその目的ではない。それは、業務が実際にどう進行するのか、決断がどのように下されるのか、ミスはどのような状況で起こるのか、判断がどう形成されるのかを学べる場だった。

そうした新人向けの仕事が今、姿を消しつつある。

組織は新人向けの業務をツールに置き換えている。そして従業員が、自ら考えて判断するすべをすでに身に着けていると期待している。そして組織は、従業員が「訓練を受けていない業務」を監督することを求めている。

これまで何十年ものあいだ、組織で働く人は、一貫した方法で専門性を積み上げてきた。まずは、職位のいちばん下から始め、繰り返すことで仕事を覚え、上司や同僚のやり方を間近で見聞きして状況や背景を把握し、徐々に責任のある仕事を任されるようになる。そうやって時間をかけて、パターンを見抜いたり、トレードオフ(利害の対立)を理解したり、自信を持って決断を下したりする能力を養ってきたのだ。

ところが最近は、これまで下の職位の従業員が担っていた業務がますますAIシステムに取って代わられつつある。金融業界の新人のアナリストが、ゼロからスプレッドシートを作成する必要はもうない。若手弁護士が、何千ページもの文書を手作業で精査することもない。人事部の新人が、職務記述書を一字一句下書きすることもないし、ソフトウェア・エンジニアがコードを1行ずつ書くこともない。

AIは、人々の働き方を変えているだけでなく、働く人が時間をかけて学び、スキルを習得し、専門知識を身に着けてきたプロセスをも変えているのだ。

組織は新入社員に対し、AIを使いこなすことを求めている。つまり、AIエージェントに作業を割り当て、AIが作成したアウトプットを判断して改善を繰り返し、問題点や思い込み、バイアスを見極めるということだ。要するに、現場で経験を積んで、状況を判断したり理解を深めたりすることなく、AIというデジタルワーカーで構成されたチームを管理しろ、と言っているのだ。

実務経験もないのに、AIの活用法をどうやって学べというのだろうか。これまでは、新人として経験を積む過程があった。しかし、そうした下積みの期間がなく、プロとして専門性を深めたり、判断力やリーダーシップ力を学んだりできる機会がなくなった今、若手はどうやって、そうした力を身に着ければいいのだろうか。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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