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2026.03.27 07:52

「体験経済」が旅の意思決定の順序を塗り替えている

長年、旅のプロセスは決まった筋書きに沿っていた。目的地を選び、航空券を予約し、ホテルを確保し、到着してから何をするかを決める。だが今、その順序が変わりつつある。引き金となるのは移動や宿泊ではなく、ますます体験そのものになっている。

それはヘリコプターツアーかもしれないし、グルメ体験、ウォーターアクティビティ、フェスティバル、コンサート、あるいは大規模なスポーツイベントかもしれない。カテゴリーが何であれ、より多くの消費者が「どんな瞬間を体験したいか」を起点に、それを軸として旅行全体を組み立てるようになっている。

この変化は体験経済の再定義を後押ししており、Tripworks創業者のアーロン・フェスラーは、多様なオペレーターの現場でその動きを目の当たりにしている。Tripworksは旅行、ツアー、アクティビティ事業者向けのテクノロジーを提供しており、顧客の期待と運営側の戦略がどのように進化しているかについて、フェスラーは広い視野を持つ。

旅はフライトではなく体験から始まることが増えているのか、と私が尋ねると、フェスラーは即答した。

「まさにその通りだ」と彼は言う。「人々はもはやイベントを探しているだけではない。1日全体、週末、場合によっては1週間を、それらを中心に組み立てている」

この指摘は、消費者の根本的な変化を捉えている。体験はもはや旅行の「付け足し」ではない。しばしば、旅行の理由そのものになっているのだ。

体験が旅の起点になる時代

この傾向は、消費者が思い出、パーソナライゼーション、そして共有できる瞬間により大きな価値を置くようになるほど、いっそう顕著になる。最も成功しているオペレーターは、単なるチケットや予約を超え、より大きく、より豊かで、感情に響く体験を設計することで応えている。多くの場合、それは「何を売っているのか」を改めて見直すことを意味する。

フェスラーはこう説明した。「焦点はチケット枚数から離れ、VIPアクセスやアドオン、優れた体験といった要素による、ゲスト1人当たりの売上へと移っている」

一方では、それはビジネス上の現実を反映している。オペレーターは、プレミアム席、限定アクセス、優先入場、ミート&グリート、その他のアップグレードによって中核となる提供価値を強化し、収益性を高める方法を探している。だが他方で、消費行動に関するより深い真実も示している。体験がより独自で、よりシームレスで、より記憶に残ると感じられるほど、人はより多く支払うことをいとわない傾向がある。

重要なのは、この潮流が単一のカテゴリーにとどまらない点である。

予約を超えた「大きな体験」をデザインする

ツアーやアトラクションでは、シンプルなアクティビティをより没入的なものへと変えることを意味し得る。フェスラーが挙げたのは、操縦士とのやり取りから祝福的な演出まで、気の利いた工夫によって体験を格上げするヘリコプター事業者の例である。

ホスピタリティに隣接する体験では、取引的な色合いを薄め、語りたくなる瞬間をキュレーションすることを意味し得る。旅行をより広く捉えると、消費者は可処分所得の使い方をより意図的に選ぶようになっており、ユニークで感情的な満足感が得られる体験への選好が強まっていることを示唆している。

ライブイベントが「体験ファースト」の旅行を牽引する理由

同じ力学はライブイベント、とりわけコンサートやスポーツにも変化をもたらしている。

多くの消費者にとって、大型コンサートやフェスティバル、試合はもはや単なる夜の外出ではない。より大きな旅行判断の中心となっている。ファンはツアーの開催地を目指して州境を越えて移動し、因縁の対決に合わせて週末を延ばし、見逃したくない目玉イベントを軸に旅を組み立てる。

その意味で、ライブイベントは「体験ファースト」の計画の最も分かりやすい例の1つになっている。

フェスラーは世代行動にもそれを見ている。

「ミレニアル世代とZ世代は、確かに製品よりもこうした種類の体験に、可処分支出のより大きな割合を振り向けている」と彼は言う。

これは重要である。コンサートやスポーツイベントは、現代的な消費の形としてとりわけ強い力を持つからだ。感情、アイデンティティ、そしてソーシャル・カレンシー(社会的価値)を結びつける。もともと共有に適している。イベント前には期待を膨らませ、写真や動画、会話を通じて、終わった後も長く残り続けることが多い。

ブランドやオペレーターにとって、これは入場(チケット)を超え、ゲスト体験の全体的な軌跡に目を向ける機会となる。

消費者が最も記憶に残すブランドの瞬間

それでも、私がフェスラーと話す中で最も興味深かったテーマの1つは、重要な瞬間のすべてが直接的に収益化されるわけではない、という点だった。

オペレーターが来場者数、コンバージョン、ゲスト1人当たりの売上といった指標に注目するのは理解できる。だが消費者が覚えているのは別のことが多い。驚き、喜び、つながりの瞬間、つまり体験を「他と違う」と感じさせた瞬間である。

言い換えれば、体験の中で最も価値ある部分が、必ずしも最も分かりやすく収益に直結する部分とは限らない。

フェスラーは、ラスベガスでエキゾチックカー体験を提供するSpeed Vegasを立ち上げていたキャリア初期に、その教訓を学んだ。印象に残ったのは、単に製品そのものではなく、それが生み出した感情的反応だった。ゲストはただ車を運転するために支払っていたのではない。物語、感情、そして記憶を買っていたのである。

彼の言葉を借りれば、「人が感情的に無防備になるような瞬間を見つけられれば、ブランドに対する永続的なつながりが生まれる」のだ。

体験経済におけるテクノロジーの役割

この洞察は、体験経済全体に含意を持つ。最強のオペレーターは、ゲスト1人当たりの支出を引き上げることだけに注力しているのではない。人々が語り、繰り返し、共有したくなる瞬間を意図的に生み出すことに力を注いでいる。

そうした瞬間はプレミアムアクセスによって生まれることもあるが、綿密な設計、五感への働きかけ、ホスピタリティ、あるいは期待を上回る細部によって生まれることもある。

ここには重要な違いがある。アドオンは商業的な戦術だ。ブランドの瞬間は感情的なものだ。最良の企業は、両者を混同することなく、どう組み合わせて機能させるかを理解している。

そこでテクノロジーが、ますます重要な役割を果たす。Tripworksのようなプラットフォームは、予約、発券、アップセル、顧客管理をめぐるインフラを、オペレーターが近代化するのを支援する。

フェスラーは、多くの体験ビジネスが、よりシームレスでパーソナライズされた顧客体験を可能にするテクノロジーの導入において、ホテルや航空会社など他セクターに後れを取っていると考えている。

体験の未来が「人間的」であり続ける理由

同時に彼は、AIを代替というより強化要因として捉えている。予測、価格設定、スタッフ配置、裏側の最適化を改善できる。だが、とりわけライブで現実世界の場における体験そのものは、深く人間的なままである。

それこそが、最も重要な要点かもしれない。体験経済が成熟するにつれ、勝者となるのは在庫を最も多く持つ企業でも、最も効率的なシステムを持つ企業でもない。人々がそもそもなぜそこに足を運ぶのかを理解している企業である。

消費者は単にアクセスを購入しているのではない。記憶、アイデンティティ、つながりに投資している。ヘリコプターツアーでそれが起きることもあれば、フェスティバル、球場、完売したコンサートで起きることもある。

多くの場合、それはメインイベントの前後、始まる前と終わった後に周到に設計された瞬間の中で起きる。

かつては旅行が体験を編成していた。だが今は、体験が旅行を編成するようになっている。その変化を認識し、意図的に設計できるオペレーターこそ、最も勝ちやすい位置につくだろう。

forbes.com 原文

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