キャリア

2026.03.27 04:37

なぜ女性は起業へ向かうのか──企業キャリアの停滞という現実

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女性は米国の労働力のほぼ半数を占める一方で、リーダー職では依然として過小代表の状態にある。女性は労働者の44%を占めるが、リーダー職に就くのは31%にとどまることが、新たなLinkedInの調査で示された。ジェンダー平等に向けた進展も、ここ数年で鈍化している。

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同時に、女性が事業を立ち上げるペースは急速に高まっている。女性が所有する米国の企業数は現在1570万社にのぼり、全企業の40%超を占める。これは、女性オーナー企業の影響を扱ったウェルズ・ファーゴの2026年レポートによる。企業内での昇進が停滞するプロフェッショナルにとって、起業は自律性、影響力、そして長期的な資産形成へとつながる道になりつつある。

企業におけるリーダーシップ・ギャップは依然として続く

労働参加や教育水準において数十年にわたる前進があったにもかかわらず、企業のリーダーシップへの道は女性にとってなお平坦ではない。LinkedInのデータによれば、2015年から2022年にかけて着実に進展した後、伸びはほぼ停滞し、過去1年でリーダー職に占める女性の割合は0.1ポイントしか増えていない。

企業のリーダー職への道における主な障壁には、次が挙げられる。

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  • 管理職への最初の一歩で女性の比率が大きく低下する「壊れた段(broken rung)」
  • バイスプレジデント層からCスイートにかけての比率の急減
  • 昇進の軌跡が緩やかであること、そして時間の経過とともに生じるキャリアの中断
  • 経営幹部への昇進を加速させるスポンサーシップや影響力のある職業ネットワークへのアクセスの限定

こうした障壁は時間とともに積み重なり、多くの女性がシニア・リーダー職に到達することを難しくする。アドバイザリー・投資会社Contrarian Thinkingの創業者コディ・サンチェスは「企業は『キャリアは自分で切り開け』と言いながら、静かに梯子を外している。組織図のフラット化と昇進サイクルの鈍化は、段を減らし、それぞれの段により多くの人を閉じ込める」と説明する。こうした壁に直面するなかで、多くの女性が企業構造の外に機会を求めるようになる。

女性の起業は過去最高ペースで増えている

起業の急増はパンデミック期に加速し、その後も続いている。2019年、女性が立ち上げた新規事業は全体の約30%だった。2024年にはその比率が新設企業のほぼ半分まで上昇し、誰が事業を立ち上げるのかという構図に大きな変化が生じている。

ウェルズ・ファーゴのレポートによれば、女性オーナー企業は現在、米国の全企業の40.6%を占め、1260万人を雇用し、売上高2.8兆ドルを生み出している。2022年から2025年にかけて女性オーナー企業の数は12.1%増加し、男性オーナー企業の増加率6.3%を大きく上回った。

LinkedInのシニアスタッフ・エコノミストであるマシュー・ベアードは「LinkedInのデータでは、女性が創業者である比率が過去10年で有意に増えたことが示されている。世界全体では、2015年に創業者の23.9%が女性で、2025年には29.2%になった」と述べた。

起業は、従来型のリーダー職における女性比率の伸びよりも速く進んでいる。

ベアードは「女性創業者の比率は過去10年で3.7ポイント上昇した。これに対しリーダー職は2.0ポイント、雇用全体では1ポイント未満だ。起業は、トップ層での代表性に向けたより速い経路の1つであることを示唆している」と付け加えた。

動機として最もよく挙げられるのは次のとおりだ。

  • 約4分の3が「自分のボスになりたい」
  • 62%が「自分のスケジュールに合わせて働きたい」
  • 半数超が「金融資産を築きたい」
  • およそ3分の1が「所得を増やしたい」

専門家は、起業の魅力がオーナーシップと長期的な資産形成にいっそう重心を移していると話す。スモールビジネスの専門家で著者でもあり、SmallBizLady Enterprisesの創業者メリンダ・エマーソンは「中堅からシニアキャリアの女性の多くが、起業には企業の役割では得にくいものがあると気づき始めている。それは持分(エクイティ)を築けることだ」と語った。

この傾向は、とりわけ若い女性や有色人種の女性で強い。アフリカ系米国人女性とアジア系米国人女性は新規事業の創出で大きな割合を占め、これらのグループでは男性よりも企業を立ち上げる可能性が高い。

成長への障壁

女性が過去最高ペースで事業を立ち上げる一方で、こうしたベンチャーのうちどれだけがスケールするかには、なお複数の課題が影響している。

構造的障壁が依然として成長を制約する

ウェルズ・ファーゴのデータに基づけば、女性オーナー企業は米国の全企業の40%超を占めるにもかかわらず、総事業売上高に占める割合は4.6%にとどまる。この格差の多くは事業規模の違いを反映している。従業員を抱える女性オーナー企業は9%にすぎず、男性オーナー企業の約20%と比べて少ないため、事業拡大と売上増の余地が制限される。

女性オーナー企業の大半は単独事業である。こうした無雇用(nonemployer)企業の年間売上は平均約3万5000ドルで、男性オーナーの無雇用企業の7万8000ドルと比べて低い。雇用企業に限っても、女性オーナー企業の平均売上は160万ドルである一方、男性オーナー企業は460万ドルであり、規模のギャップが根強いことが浮き彫りになる。

成長を制約する構造的な制約は、次のとおりだ。

  • 資本へのアクセスが限られ、個人の貯蓄やクレジットカードに依存しやすい
  • SBAローンやプライベート・エクイティ資金への参加が少ない
  • 小売、個人向けサービス、保育など、利益率の低い業種への集中
  • ケア責任に伴う時間制約
  • 投資・資金コミュニティにおける職業ネットワークの小ささ

こうした構造的課題は、新規ベンチャーの数が増え続ける一方で、多くの女性オーナー企業が初期段階を超えて成長することを難しくしている。

経済的逆風が圧力を加える

経済環境の広がりは、多くの小規模事業に追加の難題をもたらしている。高止まりする金利は借入コストを押し上げ、インフレと世界貿易の混乱は業種を問わず運営コストを増加させた。

こうした圧力は、女性起業家が多い小規模で消費者向けの事業に不均衡に影響する。小売、個人向けサービス、ホスピタリティなどの分野の企業は薄利で運営されることが多く、コスト上昇を吸収する余地が小さい。

2022年から2025年にかけて、売上高が100万ドル未満の女性オーナーの雇用企業は、成長が停滞またはマイナスとなった。最小規模の企業では雇用が39%超減少し、経済の変動が大きい局面で初期段階の事業がいかに脆弱になり得るかを示している。

これに対し、売上高が100万ドル超の女性オーナー企業は、雇用、企業数、売上の各面でより一貫した成長を示し、規模が景気後退局面での耐性を高めることが示唆される。

より多くの女性オーナー企業がスケールするために必要なこと

事業所有と経済的インパクトの間にあるギャップを埋めるには、成長を支える資源へのアクセスをより広げる必要があるだろう。女性が事業を立ち上げるペースは急速に高まっているが、初期段階を超えて拡大することを難しくする構造的障壁に多くが直面している。

規模のギャップを縮小するうえで役立ち得る戦略は、次のとおりだ。

  • SBAローン、コミュニティ開発金融機関、助成金、マイクロローンを通じた適正規模の資本へのアクセス拡大
  • スケールを見据えた事業者に対する、的を絞ったメンタリング、技術支援、アドバイザリー支援の提供
  • 女性オーナー企業を政府・企業の契約につなぐ認証・調達プログラムの簡素化
  • 支援が行き届いていない地域における、起業インフラと業種特化型支援への投資
  • 事業者ごとの多様なニーズや経験を反映したプログラム設計

金融機関、企業、公共部門プログラムの連携強化も、小規模事業の成長を支えるより広いエコシステムの強化につながる可能性がある。

女性のリーダーシップに向けた二つの道

起業は、自律性、リーダーシップ、そして経済的影響力を築くための意図的な戦略になりつつある。エマーソンは「今後10年で、1000万ドルから5000万ドル規模の企業を率いる女性がはるかに増える。とりわけ買収とフランチャイズを通じてだ」と語った。

多くのプロフェッショナルにとって、オーナーシップそのものが新たなリーダーへの道として浮上している。サンチェスは「ゼロから始めるのは華やかだが、静かな億万長者が生まれるのは既存のビジネスを買うほうだ」と付け加えた。

この道を選ぶ女性が増えるにつれ、事業成長を支える資源へのアクセスを拡大することが、経済における女性のリーダーシップの次章を形作る助けとなるだろう。

forbes.com 原文

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