マーケティング

2026.03.27 03:23

PR戦略でAIが役立つ4つの場面と、逆効果になる4つの場面

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ヘザー・ケリーは、全米に拠点を持つ受賞歴のあるフルサービスのPR会社Next PRのCEOである。

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私の会社は最近、見込み顧客のユニコーン級の資金調達発表を周知するためのメディアキャンペーンの提案書を提出した。こうしたキャンペーンは何度も手がけてきたので、チームが卓越した成果を出すと確信していた。

しかし契約を獲得できなかった。顧客の説明によると、半額以下の費用で引き受けてくれる別のエージェンシーを見つけたという。しかも、そのエージェンシーはすぐにでも発表の売り込みに着手できる状態で、顧客も早く始めたがっていた。

私は瞬時に背筋が凍った。正真正銘のPRエージェンシーに負けたはずがない。この規模のキャンペーンをその価格で回せる者などいない。加えて、ホリデーシーズンに重大ニュースを売り込むPRのプロフェッショナルがいるだろうか。直感的に、この顧客は誤った判断をしていると感じた。

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その疑念はすぐに確信へと変わった。2週間もたたないうちに、顧客が戻ってきて、私たちに引き継いでほしいと依頼してきたのだ。別のエージェンシーは、おそらくAIエージェンシーだった。要するに、ChatGPTを使って汎用的なピッチを量産し、無差別にばらまく「AIプロンプトの達人」だったのである。

この「キャンペーン」が何の成果も生まなかったのは驚くことではない。1億ドル超のシリーズA投資に対して、メディア掲載はたったの1件もなかった。

私たちが指揮を引き継ぎ、179件の掲載を獲得した。顧客が最も重視していたテレビの金融ニュースチャンネルでのインタビューも実現させた。

PRに人間の手触りが必要な理由

これは、AIがPRを台無しにしているとか、AIが役に立たないといった負け惜しみの話ではない。AIが有用なのは確かであり、私のエージェンシーはAIを全面的に活用している。

しかし、AIをPR戦略全体の土台にしてはならない。どれほど優れたプロンプトでも、経験豊かなチームが生み出すインパクトには及ばない。さらに、この顧客が痛感したように、AIエージェンシーは安いかもしれないが、支払った分しか得られない。結局のところ、顧客はAIに数千ドルを無駄にし、しかも発表にふさわしい露出を得るために、さらに追加で費用を払うことになった。

PRでAIを正しく使うことで、こうした失策とブランド毀損の可能性を避けられる。AIが戦略を助ける方法と、損なう方法を以下に示す。

AIはメディアリサーチに役立つ

私のチームはAIを使ってターゲットとなるメディアを特定している。ニッチな分野や、顧客の通常の領域から外れた切り口で売り込む場合に特に有効だ。AIはまた、従来のメディアリストには載りにくいポッドキャスター、ブロガー、インフルエンサーといった新たな露出機会の発見にも役立つ。

AIは関係性を築けない

実のところ、AIエージェンシーの一件の後、私はその資金調達発表を引き受けることに少し躊躇していた。いつも付き合いのある記者たちは重複に混乱しないか。私たちのエージェンシーの信用に傷がつかないか。

だが、結果的に心配は無用だった。私たちが連絡したメディアのうち、この顧客や発表について聞いたことがあるところは1つもなかった。AIエージェンシーの失敗を裏づける、さらなる証拠である。

PRのプロとして、記者との関係を育むことは価値の大きな部分を占める。彼らが何を取材しているかを把握し、こちらが質の高いストーリーと信頼できる専門家ソースを持ち込むことを、彼らは信頼している。その関係性は、露出獲得と好ましいブランド評判の構築において圧倒的な優位性となる。

AIはブレインストーミングに役立つ

私のチームはAIを使い、ストーリーの切り口や創造的なキャンペーン戦略を練り、危機対応コミュニケーションのシナリオをストレステストしている。ピッチ、提案書、戦略において重要な点を見落としていないかを確認し、リスクを顕在化させる副操縦士として使っている。

AIは戦略を個別最適化できない

AIは、あなたが売り込みたいニュースの種類を掲載する媒体を教えてはくれるが、インパクトの観点で優先順位づけはできない。どの媒体が「ホームラン級」であれ、何を提示し、どうすれば記者の注意を個別に引きつけられるかを見極めるには、人間の手触りが必要だ。

AIは市場インテリジェンスを提供できる

私たちはAIを使い、顧客が事業を展開する市場を理解している。顧客の課題、微妙な機微、競合情報も含まれる。競合が何をしているか、あるいは何をしていないかを把握することは、差別化し、独自の価値提案を形づくる助けになる。実際、私たちが顧客と緊密に連携してAI上のポジショニングを磨き込む理由の1つがここにある。潜在顧客がAIプラットフォームを用いて検索したときに、顧客について明確で信頼できる情報が得られるようにするためだ。

AIは健全な判断を下せない

顧客は資金調達キャンペーンをすぐに始められることを利点だと捉えていたが、私たちはそれがリスクになると分かっていた。PRではタイミングが極めて重要で、これほど大きなニュースでも、ホリデー期の混乱や不在が増える時期に埋もれ、見失われかねない。

同じことはメッセージにも当てはまる。ChatGPTは挑発的な決めゼリフを生み出せるかもしれないが、人間中心の形で企業の物語を語ることはできない。

AIはコンテンツの編集・仕上げに役立つ

私たちのほとんどはプロの編集者を手元に抱えていないが、第三者のレビューは言葉遣いが的確かどうかを確認するのに役立つ。ChatGPT、Copilot、GrammarlyといったAIツールは、表現の調整、文法の誤りの修正、適切なトーンの伝達を助けてくれる。

AIはオリジナル原稿をあなたの代わりに書けない

AIにゼロからソートリーダーシップや寄稿記事を書かせるのは大きな誤りだ。例えば「最高のCRMソフトウェアについての記事を書いて」と促せば、文脈も視点も声もない、まったく凡庸な記事が出てくる。

忘れてはならない。大規模言語モデル(LLM)は既存コンテンツで学習している。顧客、メディア、業界インフルエンサーが聞きたいのは、すでにあるものの焼き直しではなく、あなたの独自の視点だ。加えて、多くのメディアはAI生成の寄稿コンテンツを明確に禁じている。

勝てる組み合わせ:賢いツールを、責任ある手に

AIの利用は現代のPRでは標準的な実務になったが、重要なのは使い方だ。リサーチ、ブレインストーミング、独自のストーリー角度の発掘において、AIのスピード、規模、利便性に勝るものはない。

しかし、戦略、機微、批判的思考、判断となると、人間の直観に代わるものはない。AIがロジスティクスや定型業務の多くを自動化しても、PRの本質はあくまで関係性にあり、真の人間的なつながりから築かれる信頼を、ボットが獲得することはできない。

forbes.com 原文

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