資産運用

2026.03.27 02:19

AIブームの光と影、投資家が注視すべきポイント

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Daniel S. Kern(CFA、CFP)はNixon Peabody Trust Companyの最高投資責任者(CIO)である。

AIによる破壊的変化への懸念が市場心理に大きな変化をもたらし、AIの勝ち組と負け組と見なされる企業の間でパフォーマンス格差が拡大している。ソフトウェアの終焉を予測する向きもあるなか、AIツールが既存のソフトウェア製品を置き換えるという不安から、多くのソフトウェア株は急落している。ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)もまた、巨額の設備投資に対する投資収益率(ROI)について一段と厳しい問いに直面しており、借入で賄われた支出や循環型の資金調達スキームへの懸念がとりわけ強い。対照的に、AIインフラ構築に「つるはしとシャベル」を提供する半導体、産業企業、公益事業の各社は、2026年初頭も上昇を続けた。

株価の急激な変動は、上昇しすぎた銘柄で利益を確定する機会や、長期的な見通しが明るいにもかかわらず「セール価格」になった銘柄を買う機会を提供することが多い。しかし、市場心理の短期的な揺れに過剰反応するのは避け、AIに伴う長期的な機会とリスクに焦点を当てることが重要である。

「防御的な堀」を持つソフトウェア企業は、直近の売りから回復する可能性がある

新たなAIツールによる変化に脆弱なソフトウェア企業が多い一方で、事業の周囲に「防御的な堀」を築いている企業には魅力的な機会がある。たとえば、独自データを用いてミッションクリティカルなワークフローを提供するソフトウェア企業である。筆者の見立てでは、こうした企業は長年の顧客関係から排除されにくい。また、金融サービスや医療など高度に規制された産業向けにサービスを提供するソフトウェア企業も同様である。ソフトウェア株の下落は、長期の勝者と敗者を見分けられる投資家にとって好機となりうる。

AIの影響は業界全体に及ぶ

AIの潜在的な用途は広範に及ぶ。たとえば、AIは医療の多くの側面を変革する可能性が高い。医薬品開発は歴史的に試行錯誤に依存し、コストが高い一方で成功率は低かった。AIツールは、薬剤候補の特定をより効率的に行うのに役立ち、臨床試験のスピードを加速させる可能性もある。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によれば、「生成AIを活用する企業は、新規ターゲットの探索からFDA(米食品医薬品局)の承認までを最短18カ月で進めつつ、開発・承認プロセスが通常要する費用のごく一部しか支出していない」という。AIは医療分野で、疾患の診断や健康状態のモニタリングにもますます利用されている。

AIは金融サービス企業にとってもゲームチェンジャーになりうる。ロケット・モーゲージは、AIの活用により文書分類や収入・資産・不動産の確認といった業務を迅速化し、年間推定110万時間以上の労働時間を削減していると主張している。モルガン・スタンレーのようなウェルスマネジャーは、AIを使ってファイナンシャルアドバイザーにコンテンツを提供している。JPモルガンは、不正検知とリスク管理を支援するためにAIへ投資してきた。2月の企業アップデートで同行は、不正に関する単位コストが前年比で11%低下したと報告している。

AIが生産性を高める機会は、これまで利益率が低く、多くの投資家から見過ごされてきた企業にも豊富に存在する。産業用ロボットは、店舗の商品補充、注文処理、ファストフードの製造など、人手のかかる事業で有用となり、コスト削減につながりうる。輸送もAIの恩恵を受けうる業界の1つであり、自動運転車の幅広い用途には大きな可能性がある。

今日のAIリーダーが明日の市場リーダーとは限らない

あくまで説明のための例として、ドットコムバブルと、インターネットの発展に不可欠だったコンピュータネットワーク機器などを製造するシスコシステムズを考えてみたい。シスコは1990年代後半の株式市場における大きな勝ち組の1社だった。シスコはいまも成功した企業であるものの、その株価は過去25年の大半でドットコム時代のピークを下回って推移してきた。ドットコムバブルが崩壊すると、シスコの利益成長は鈍化し、同社のバリュエーションは持続不可能となった。投資家は、今日のAIリーダーがキャッシュフローと負債のどちらで支出を賄っているかを理解し、顧客基盤の持続力を見極めるべきである。

AIは2026年を通じて、投資家にとって支配的なテーマであり続ける可能性が高い

AIの可能性への熱狂は、普及のペースと最終的な投資収益率をめぐる不確実性とのバランスを取ることになるだろう。市場は今後、テクノロジー企業に対し、AIへの設備投資をどのように収益化するのか、その明確な道筋を示すことをますます求める可能性が高い。

AIの恩恵が経済全体により広く波及するまでには時間がかかるかもしれない。そのため投資家には、数カ月ではなく数年を要する可能性のある動きに対して辛抱強さが求められる。

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