経済・社会

2026.03.27 01:52

エネルギー安全保障の真の立役者はシェールガスだ

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中東の戦争は、米国のエネルギー自立、とりわけ米国の(純)石油輸入を終わらせるうえでのシェールオイルの役割に大きな注目を集めてきた。世界価格に連動して米国の石油価格が上昇していると人々は不満を述べるが、石油に費やす資金を海外に送るのではなく国内にとどめることには、きわめて大きな利点がある。

この議論の陰に隠れてしまっているのが、シェールガスの役割と、それがエネルギー安全保障にもたらす貢献である。とりわけ、海外の地政学的な動向に左右されないエネルギー源がもたらす経済的な恩恵は重要だ。米国はカナダから天然ガスを一部輸入し、LNGもごく少量輸入している。しかし北米は大陸規模の市場であり、グローバル市場との接点はコストの高い液化を介したものに限られる。価格は国際情勢とは無関係に、国内の需給バランスで決まる。下図が示すとおり、米国の天然ガスの長期価格は、アジアや欧州を長年にわたり大きく下回ってきた。

国際的な天然ガス価格が米国価格を上回りがちなのは、取引が寡占的性格を帯びているためである。ロシア、ノルウェー、アルジェリアなど少数の国がパイプラインでガスを輸出し、タンカーによる液化天然ガス(LNG)の輸送はオーストラリアやカタールなど少数の国が支配している。これらの国々は長年、各々の熱量に基づいてガス価格を石油価格に連動させる契約に依存してきた。これは、カフェイン含有量で調整したコーヒー価格を基準に茶を販売するのと同じである。

米国のLNG輸出産業の台頭は、他の輸出国より競争的であることもあり、ガス契約のより多くが石油価格ではなくガスのコストに基づくようになった。これは多くのガス輸入国に恩恵をもたらしたが、市場がなお比較的限定的であるため、短期の供給変動が価格急騰を招き得る。ウクライナ戦争によってロシアのガス輸出の大半が途絶した後もそうだったし、いまはカタールの生産が停止していることで、(米国外で)価格が急騰している。下図が示すとおり、欧州とアジアではここ数日で20〜40%上昇した一方、米国の価格は頑固なまでに低いままだ。

米国における天然ガス支出は1日あたり約2億5000万ドルである(坑口価格ベースであり、配給コストは別途加わる)。これは欧州とアジアの国境価格に基づいて他国が支払う額のおよそ4分の1〜3分の1に相当する。各国がいま追加で負担している1Mcfあたり3ドルは、米国の消費者にとっては1日あたり2億5000万ドルの追加節約に相当する。これはシェールガス産業の成功のみによって生じた節約である。エネルギーコストが高い局面において、これはきわめて大きな勝利だ。

これに関連して、シェールガス産業(シェールオイルに伴うガスを含む)による天然ガス液の増産は、世界の石油価格と比べてプロパン価格を低位に保ってきた。長年生産が横ばいだったが、シェール革命により液体供給は2010年以降4倍に増えた。一部の天然ガス液は輸出されるものの、国内生産の増加によって、次の図に示すプロパン価格は、地政学的要因で暖房用燃料油価格が上昇した局面でも安定している。プロパンの低価格は、消費者にとって1日あたり約50ドルの節約につながる。

シェール革命の初期には、シェールガスの大半は採算が取れないと確信する否定論者が非常に多く、またシェールのフラッキングが環境破壊をもたらすと主張する者もいた。現在でも、「スイートスポット」の在庫が枯渇すればガスのコストと価格が大幅に上昇する、と論じる向きがある。幸いにも、シェール生産者は課題に対処し、米国と国民に大きな利益をもたらしてきた。欧州諸国がイデオロギー的な恐れからフラッキングを禁止していなければ、この4年間の経済的損害は大幅に軽減できた可能性がある。

forbes.com 原文

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