これは今日の世界より大きな真実を反映している。紛争はもはや孤立したものではない。エネルギーの流れ、軍事同盟、経済の安定は、すべて相互に結びついているのだ。
欧州と中東の戦域を別々に扱ってきたことが、方向性の欠如を招いてきた。両者を結びつけることで、進むべき方向が見えてくるかもしれない。
欧州が果たすべき役割
この取引を、とくに米国側から見て信頼に足るものにするためには、欧州側の貢献は大きなものでないといけない。
具体的に言えば、欧州には次のことが求められる。
・海軍を展開し、ホルムズ海峡を通航する商船を護衛する
・監視・偵察活動を通じて脅威を監視する
・掃海能力を提供し、航路を確保する
・米国が主導する指揮系統に完全に統合する
これは、欧州がたんに受益者の立場にとどまるのでなく、安全を提供する役割も果たせることを示す機会になる。
トランプ本人を含め、米国の政治家や当局者は長年、NATO内や、より広範な同盟体制内の役割の不均衡に懸念や不満を示してきた。
この取引はそうした状況を是正する好機だ。
米国が約束すべきこと
米国は見返りに、ウクライナに関して明確な方針を示す必要がある。
具体的には次のようなものだ。
・軍事支援(とりわけ防空能力と長距離打撃能力)をただちに実施し、拡大する
・情報共有と作戦面の連携を継続する
・複数年にわたる資金供与を約束し、継続性を確保する
・ロシアが武力で意志を押しつけるのを阻止するという明確な戦略目標を示す
こうした方針はエスカレーション自体を目的とするものではない。抑止力の回復を図るものだ。
侵略がウクライナで成功すれば、そこで止まることはないと考えられるからである。
ほかの案と違い、この案が奏功するかもしれない理由
外交に関する提案は、利害の一致ではなく価値観の共有に依拠する場合、失敗しがちだ。
だが、この提案は利害が一致している。
米国にとっては
・経済の大動脈の安全を確保できる
・同盟国による負担分担が実現する
・国内のエネルギー価格の安定化につながる
欧州にとっては
・ウクライナへの米国の関与継続が保証される
・ロシアに対する抑止力が強化される
・安全保障を単独で担わざるを得なくなるリスクが軽減する
ウクライナにとっては
・死活的に重要な軍事支援が復活する
・交渉での立場を強化できる
・公正な結果を得られる可能性が高まる
それぞれ負担があるが、見返りもある。
これは理想論ではない。現実主義である。


