政治

2026.03.27 07:00

「ホルムズ関与の見返りにウクライナ支援」 フィンランド大統領の対米ディール案は検討する価値

米ホワイトハウスで2025年10月9日、首脳会談に臨むフィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領(左)とドナルド・トランプ米大統領(Anna Moneymaker/Getty Images)

レバレッジを効かせた外交的打開

こうした状況に鑑みると、フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領が今月提案したアイデアは真剣に検討する価値がある。

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ストゥブは英王立国際問題研究所(チャタムハウス)で行った講演で、シンプルな取引を提案した。欧州はホルムズ海峡の安全確保を支援する。見返りに、米国はウクライナへの継続的な支援を確約する。

これはいかにも「取引」色の強い提案に聞こえる。

だが、まさにそれこそ、この案がうまくいくかもしれない理由である。

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トランプはかねて外交政策を理念ではなく「ディール(取引)」と捉えてきた。同盟国にもっと多く負担するよう求め、際限のない関与にはほとんど忍耐を示してこなかった。

ストゥブの提案は、トランプのそうした流儀に合わせたものなのだ。

トランプと米国にとっての利点

適切に設計されれば、これは米国の譲歩にはならない。むしろ米国にとって好機になる。

第一に、この案はトランプがまさに求めてきたもの、負担の分担を実現する。欧州諸国、とりわけ英国とフランスは、世界で最も重要な海上交通路のひとつを守るために、実際に現場で主要な役割を担うことになる。

第二に、これは世界のエネルギー市場を安定化させる。ホルムズ海峡の安全が確保されれば、原油価格の変動を抑えられる。これは消費者やインフレ、経済成長に直接の影響を与える。

第三に、トランプはこれをわかりやすい「勝利」としてアピールできる。同盟国がより大きな役割を担い、米国は条件を設定すると説明できる。これは彼の理解できる政治ストーリーであり、米国民にも響く。

第四に、これは単独主義的な行動を必要とせずに米国のリーダーシップを再確認するものになる。米国は引き続き主導的な役割を果たすが、単独で対応するのではない。

最後に、これは米国のウクライナ支援を具体的な見返りと結びつける。支援は無期限の約束とは見なされず、交渉を通じて成立した取引の一環ということになるので、政治的にはるかに正当化しやすくなる。

要するに、これはトランプが理解できる類いのディールなのだ。

2つの紛争を意図的に結びつける

この提案のロジックはシンプルだ。

欧州は、ホルムズ海峡の安全を確保するために海軍と空軍のリソースを提供する。その見返りに、米国はウクライナでの明確で継続的な戦略にコミットする。

2つの別々の危機が、ひとつの連携した対応になるというわけだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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