宇宙

2026.03.27 10:30

月軌道ステーション中止、核推進宇宙船の新規開発など NASAが諸計画を大幅改定

新たなに構築された月面基地の開発工程のインフォグラフ (c)NASA

その後、NASAは太陽電池パネルとラジエータ(熱放射パネル)を搭載したパワー&クーリング・モジュールの開発・製造を民間から募り、コアモジュールに接続する。NASAと民間によって構築されたモジュール群がISSから分離すれば、ポストISSを担う新たな米国宇宙ステーションとして運用されることになる。

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これまでの民間宇宙ステーションの進め方は、すべてを民間企業に委ねる方針だった。しかし、今回発表されたこのハイブリッド方式であれば、初期リスクを政府が負担し、その後の民間モジュールの需要を見定めながら、市場原理にもとづいて進めることが可能になる。

コアモジュールはNASAの事業であり、その開発・製造は民間に発注されるが、その主契約企業を選定するためにNASAは、近日中に要件の草案を発表する。アクシオム社が計画するアクシオム・ステーションと同様に、ISSの船首に接続する予定であることから、カンファレンスの参加者からは「特定の事業者に限定した募集ではないか」との質疑もあったが、NASAはこれを否定。多数の企業からの入札があることを期待していると述べた。

ただし、NASAの新たなコアモジュールの開発・製造は、すでに遅延している民間ステーションのプロバイダーと重なる可能性が高いことから生産能力が危惧され、そして何よりISS退役までに時間がない。ISSの退役が引き延ばされたとしても、2032年までの約6年間でISSから分離できる状態に至るかは、依然として不透明な状況が続きそうだ。

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アルテミス2に使用される超大型ロケットSLS。このミッションにより人類は半世紀ぶりに月を再訪する。4月1日以降に打ち上げられる予定 (c)NASA
アルテミス2に使用される超大型ロケットSLS。このミッションにより人類は半世紀ぶりに月を再訪する。4月1日以降に打ち上げられる予定 (c)NASA

今回のイベントでは、あらゆる計画が停滞傾向にあったNASAの刷新を予感させ、能動的な活力を感じさせた。しかし、直前に迫るアルテミス2、その後の有人月面着陸、月面基地建設、ポストISSなど、NASAとアイザックマン氏に課せられた課題はあまりにも多い。目的を達成するため過度に圧縮された感のあるスケジュールとタスクを、NASAと民間業者は実行することができるか。その推移は今後も引き続き、多くのステークホルダーから監視されることになる。

編集=安井克至

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