宇宙

2026.03.27 10:30

月軌道ステーション中止、核推進宇宙船の新規開発など NASAが諸計画を大幅改定

新たなに構築された月面基地の開発工程のインフォグラフ (c)NASA

しかし、この軌道は一般的な極軌道よりもはるかに軌道高度が高いため、着陸と離昇の際、人員を輸送するHLS(有人月着陸機)には大きな推力が要求される。地球からの打ち上げ時期や、月面への離着陸のタイミングも限られ、さらに周期が7日間と長いことから、月面からの緊急脱出も不可能となる。

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これらの制約を軽減するためにNASAは、HLSを開発するスペースXとブルーオリジンに対するヒアリングをあらためて行い、より自由度の高い軌道を検討するという。おそらくNRHOよりはるかに高度が低い極軌道が採用されると思われる。

結果的にゲートウェイの中止は、いま難航しているHLS開発のハードルを下げ、ミッション工程を簡略化する。とくにHLSやオリオン宇宙船の軌道の変更は、アルテミス4のクルーを予定どおり2028年に月南極に立たせるための重要な要件になるはずだ。

核推進を利用した宇宙船「SR-1」

今回、新計画としてとくに関心を集めたのが核推進装置を利用した火星探査ミッションだ。NASAは米エネルギー省(DOE)と協力し、核電気推進装置を搭載した宇宙船「SR-1」(Space Reactor-1)を開発すると発表。探査ドローン「スカイフォール」を火星に向けて2028年12月に打ち上げる。

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レーダーなどによって火星地表を調査する探査ドローン「スカイフォール」 (c)NASA
レーダーなどによって火星地表を調査する探査ドローン「スカイフォール」 (c)NASA

探査ドローン「スカイフォール」とは、二重反転ローターを搭載した無人探査ヘリコプターであり、探査ローバー「パーサヴィアランス」とともに火星に送り込まれた「インジェニュイティ」をベースに開発され、大気圏突入機から3機のスカイフォールが火星上空にリリースされる。

その探査機を火星まで運ぶのが「SR-1フリーダム」だ。米国はこれまでにネルヴァ計画(60-70年代)、プロメテウス計画(2003-05年)、ドラコ計画(2025年中止)など、核推進の開発計画を幾度も実行し、現在までに200億ドル以上を費やしてきた。しかし、ミッションの非継続性、計画の肥大化や長期化、リーダーシップの分散化などにより、いずれも実証段階には至っていない。

SR-1の概略図。人員物資への影響を考慮し、核熱推進装置は長いブームの先端(右)に配置される (c)NASA
SR-1の概略図。人員物資への影響を考慮し、核熱推進装置は長いブームの先端(右)に配置される (c)NASA

アイザックマン氏は就任以前から、「民間にはできない原子力推進こそNASAがすべき事業」と語ってきた。それを実現するためにNASAは、既存のハードウェアを活用してコストとスケジュールを圧縮しつつ、核推進の実証機会としてSR-1の開発を開始する。将来的には火星有人ミッションにも核推進を活用するという目標も掲げた。

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編集=安井克至

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