宇宙

2026.03.27 10:30

月軌道ステーション中止、核推進宇宙船の新規開発など NASAが諸計画を大幅改定

新たなに構築された月面基地の開発工程のインフォグラフ (c)NASA

新たなに構築された月面基地の開発工程のインフォグラフ (c)NASA

米国時間3月24日、NASAは「イグニッション」(点火)と題した記者会見を開催し、今後の諸計画に関する大幅かつ大胆な改定を発表した。昨年12月にジャレッド・アイザックマン氏がNASA長官に就任して以来、アルテミス計画に関する変更が段階的に発表されてきたが、今回はそれらを総括する場となった。

このイベントでは有人月探査計画アルテミスの進捗報告や、月面基地の建設工程などを中心に、多岐にわたる膨大な情報が提示された。さらにその他の重要事項として、月軌道ステーション「ゲートウェイ」の一時中止、核推進装置を利用した新たな火星探査計画の策定、ISS(国際宇宙ステーション)にNASAの新モジュールを接続するプランなど、今後のNASAの事業を大きく左右する事案も発表された。アイザックマン氏の就任からわずか3カ月後、彼の強力なリーダーシップのもと決定されたこれらの改定によって、NASAはこれまでの迷走と停滞の連鎖から脱却することを目指す。

月軌道ステーション「ゲートウェイ」の一時中止

有人月面探査計画「アルテミス」の一環として、月の周回軌道上に建設される予定だった宇宙ステーション「ゲートウェイ」は、計画を一時中止すると発表された。このステーションはISSと同様、各国による共同事業であり、日本はESA(欧州宇宙機関)とともに居住モジュール「I-HAB」の開発を担当。三菱重工業の生命維持システム(ECLSS)が搭載される予定だった。

また、2027年の打ち上げが予定されていた居住モジュール「HALO」には、三菱電機が供給するリチウムイオン・バッテリーが搭載される予定だった。その機体構造はすでに完成し、機内システムを統合する段階にあったが、今後、ゲートウェイのために開発・製造されたこれらの機材と技術は、月面基地に転用される。

月開拓の初期段階では不要と判断され、計画が一時中止されたゲートウェイ (c)NASA
月開拓の初期段階では不要と判断され、計画が一時中止されたゲートウェイ (c)NASA

ゲートウェイはNRHO(近直線ハロー軌道)と呼ばれる特殊な軌道に投入される予定だった。しかし、同機の開発中止にともない、この軌道も変更される可能性が高い。NRHOは月を南北方向に周回する極軌道の一種であり、ゲートウェイの場合は月の北極側で高度3000km(近地点)、南極側で7万km(遠地点)を通過する軌道が予定されていた。

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編集=安井克至

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