食&酒

2026.03.26 15:15

2026年「アジアのベストレストラン50」 日本はトップ10圏外に

香港で開催されたアジアのベストレストラン50の授賞式にて

「個人の思いを表現する料理」という時代性は、冠スポンサーでもあるサンペレグリノ社が、30歳以下の世界の料理人を対象に2年に一度行っている若手料理人のコンペティション「サンペレグリノ・ヤング・シェフ」を集めてのメディアランチでも感じられた。

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会場となったのは2019年と2020年にアジアNo.1に輝き、このコンペティションのメンターシェフを務める「オデット」のジュリアン・ロワイエシェフ(右から2人目)のビストロ「ルイーズ」
会場となったのは2019年と2020年にアジアNo.1に輝き、このコンペティションのメンターシェフを務める「オデット」のジュリアン・ロワイエシェフ(右から2人目)のビストロ「ルイーズ」

昨年の世界大会の優勝者となった香港「ベロン」のアーディ・ファーガソンシェフ(写真左端)は、コーチを務めた香港「テート ダイニング ルーム」のヴィッキー・ラウシェフに「どうしたらいいか聞くのでなく、あなたがどうしたいのか私に言って」と、言われ続けたことで、母の味であるインドネシアの味を表現する勇気をもらい、世界一に輝くことができたという。また、このコンペを通して出会ったシェフ仲間などのコミュニティが、個人の思いを表現する今のスタイルを形づくったと語った。

2018年世界大会で優勝し、現在は京都で「ミドル」のオーナーシェフを務める藤尾康浩シェフ(写真右端)は、「15歳からイギリスで暮らし、フランス料理を学んできた。2018年の大会に参加した際、日本を表現する必要があり、自らのルーツを改めて考えたことで今のスタイルが生まれました」と語った。

「自らの声を見つける」ことは、今の美食の一つの方向性と言えるだろう。それは、SNSの発達でめまぐるしく変化してゆくトレンドへのアンチテーゼとも言えるかもしれない。いまや一つの事象が瞬時に世界のトレンドとなる時代だ。熟成された中国の保存食材などには、その真逆の価値がある。

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また、ここ数年、AIをどう料理に活用するかという話が世界の食のカンファレンスで取り沙汰されるようになってきた。AIを活用すれば、レシピをいくらでも生み出せるが、その人の内側を反映した「パーソナリティのある料理」はAIで決して生み出せない独自性をもつ。

シェフが自分自身のアイデンティティを見つめ、一人ひとりのゲストに合わせ「世界に一つだけの花」としての料理を提供する。「自分の物語を伝える」のは、料理のスタイルの多様性を保つだけでなく「あなたのために心から料理する」という、料理の根本にある大切なものを、再確認するためのものでもあるのかもしれない。

アジアのベスト50レストラン 一覧

1. ザ・チェアマン(The Chairman)|香港
2. ウィング(Wing)|香港
3. ガガン(Gaggan)|バンコク
4. ミングルス(Mingles)|ソウル
5. ヌサラー(Nusara)|バンコク
6. ミート・ザ・バンド(Meet the Bund)|上海
7. シェフ・タムズ・シーズンズ(Chef Tam's Seasons)|マカオ
8. ガガン・アット・ルイ・ヴィトン(Gaggan at Louis Vuitton)|バンコク
9. リン・ロン(Ling Long)|上海
10. 如院(Ru Yuan)|杭州

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文・写真=仲山 今日子

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