今年6月の米国勢調査局の発表では、1980年代から2000年代初頭生まれの「ミレニアル世代」の人口が初めて、ベビーブーマー世代を上回り、米国最大の勢力となった。ミレニアル世代の米国人は現在8310万人で、総人口の4分の1以上を占めている。
その購買力はおよそ1兆3,000億ドル(約155兆円)。RBC キャピタル・マーケッツの調査によれば、ミレニアル世代は今後、外食チェーン店が成功を収めるうえで最も重要な層になるとのこと。しかし、彼らの足はマクドナルドのような大手ファストフード店からは遠のきつつあるとの指摘もある。下記に「ミレニアル対策をすべき外食チェーン店」11社を挙げてみた。
スターバックス
RBCのアナリストDavid Palmerによれば、スターバックスは現在、サービスのデジタル化という点で他社を先行しており、ミレニアル世代の取り込みに成功している。スターバックスは他の食品小売店との提携により、今後も安定した客足を確保できるだろうとPalmerは予測する。また、スターバックスが18歳から33歳の年齢層に支持され続けるためには、今後もそういった取り組みが必要不可欠だ。
マクドナルド
RBCも認めるように、マクドナルドはサービスのデジタル化と顧客の取り込みにおいて同業者に後れを取ってきた。しかし、その圧倒的知名度や顧客の訪問頻度を加味すれば、スマートフォンを重視した戦略で相当なマーケットシェアを勝ち取るチャンスが十分にあるとDavid Palmeは提案する。そしてそれが将来的にマクドナルドの成長促進剤にもなり得る。
チポトレ
ニールセンの調査によれば、チポトレはミレニアル世代の一番のお気に入りブランドだ。同社のハイクオリティな食材へのこだわりが人気の理由であり、テレビCMや広告で人気を獲得しているわけではない。
ヤム・ブランズ
ヤム・ブランズ傘下のKFCは、ベビーブーマーのお気に入りだが、ミレニアル世代が好む外食チェーンブランドのトップ5には入っていない。もしヤム・ブランズがKFCやピザハット、タコベルなど傘下にあるチェーン店を通じてミレニアル世代を取り込みたいのであれば、ネットや携帯端末で利用できるサービスに力を入れる必要があるとRBCのアナリストは話す。
ダンキンドーナツ
ダンキンドーナツは最近、携帯アプリを通じネット上で使えるポイントカードをリニューアルした。RBCのアナリストPalmerは、これが既存店売上高を押し上げる原動力になるうえ、高所得層の取り込みにも役立つと見ている。
テキサス・ロードハウス
テキサス・ロードハウスは、メニューが豊富な外食チェーン店として好みのうるさいミレニアル世代をうまく取り込んだ良い事例だとRBCのPalmerは言う。チポトレと同様に、同社は食材の質と新鮮さにこだわり成功を収めた。
ウェンディーズ
ウェンディーズの課題は、従来のファストフード店よりも、さらにお得でクオリティの高い品を求める消費者にどうアピールしていくかだ。RBCはウェンディーズの長期的なイメージ戦略やフランチャイズの見直しを好材料と見ているが、売上は安定していない。
ダーデン・レストラン(Darden Restaurants)
ダーデン・レストラン傘下のオリーブ・ガーデン(Olive Garden)は、チポトレやトレーダー・ジョーズのような顧客満足度を得ていないことに、ようやく気づき始めたとPalmerは言う。低成長の業界で顧客満足度を上げるには相当時間がかかりそうだ、とも彼は言った。
バーガーキング
バーガーキングの客足は過去7年で4%増加したが、低所得のミレニアル世代は5%減少し、高所得のミレニアル世代は16%も減少した。このハンバーガーチェーンは、高成長のコーヒーチェーンのようには若い世代の顧客を取り込めていないとPalmerは話す。こういったコーヒーチェーンは同社の脅威であり続けている。バーガーキングはモバイル端末に対応したサービスを提供することで、成長の可能性がある。
ヌードルズ・アンド・カンパニー(Noodles & Co.)
RBCは、ヌードルズ・アンド・カンパニーには長期的に見れば成長の可能性がまだまだあるという。同社の食のコンセプトは他社のそれと差別化されており、低タンパク質のメニューを取り揃えている。ヌードルズ・アンド・カンパニーは、今後10年で2桁台の成長を達成する可能性を秘めている。
パネラ・ブレッド
ニールセンの調査によれば、パネラはミレニアル世代が2番目に好む外食チェーンだ。また、ミレニアル世代の現在の嗜好が今後の消費パターンを示しているとすれば、パネラの先行きは明るいとRBCはしている。