SpaceX(スペースX)が史上最大規模の新規株式公開(IPO)を目前に控えている。Investor's Business Dailyの新たな報道によると、同社は早ければ今週中にも米証券取引委員会(SEC)に非公開の登録届出書を提出し、2026年6月の上場を目指しているという。アナリストは企業価値を1兆5000億ドル(約238.5兆円。1ドル=159円換算)から1兆7500億ドル(約278.3兆円)と見積もっており、調達額は500億ドル(約7.95兆円)以上に達する可能性がある。
最近の社内メモでは、調達資金がスターシップロケットの「正気とは思えない打ち上げ頻度」の実現、宇宙空間における人工知能(AI)データセンターの開発、そして月面基地のインフラ整備に充てられることが明らかにされた。イーロン・マスクは以前、こうした報道が正確であると認めている。スターリンクはすでに相当なキャッシュフローを生み出しているが、上場によって、これらの野心的なプロジェクトを全速力で推進するために必要な巨額の資本を確保できることになる。
軌道上のデータセンター
2026年1月下旬、SpaceXは軌道上データセンターとして特別に設計された最大100万基の衛星打ち上げの承認を求め、連邦通信委員会(FCC)に申請した。SpaceNewsが報じている。これら「AI Sat Mini」と呼ばれるプラットフォームは、高度500〜2000キロメートルの低軌道で運用される予定だ。申請書では、地上では実現不可能な継続的な太陽光発電と自然真空冷却という利点が強調されている。
SpaceXはこの衛星コンステレーションを「太陽のエネルギーを余すことなく活用して高度なAIアプリを支える、『カルダシェフ・スケール タイプII文明』への第1歩」と表現している。
スターシップの大型輸送能力があれば、この「AI Sat Mini」のような大規模ネットワークの展開も現実的なものとなる。「AI Sat Mini」構想は、現代のAIが要求する莫大なエネルギーが地上の電力網を圧迫している現状への解となる。批判的な立場からは、軌道上の混雑増加や天文学への影響が懸念されているが、これらはスターリンクのコンステレーションですでに知られている問題だ。それでも、これが成功すれば、世界がデータを処理する方法を一変させる可能性がある。
(編注:カルダシェフ・スケールは、宇宙文明の発展度を示す3段階のスケールのこと。タイプIIは、太陽が放出するエネルギーのほぼ全量を捕捉・利用できる文明を指す)
月周回軌道から月面基地へ
つい昨日、NASAのジャレッド・アイザックマン長官が大きな方針転換を発表した。ロイターが報じた。NASAは月周回宇宙ステーション計画「ルナー・ゲートウェイ」を一時停止し、今後7年間で200億ドル(約3.2兆円)規模の恒久的な月面基地建設にリソースを振り向けるという。
ゲートウェイ向けにすでに開発された部品は、月の南極における居住施設、電力システム、資源利用設備など、地表インフラの整備に活用される。SpaceXのスターシップ有人着陸システム(HLS)は、乗組員と大型貨物を月面に輸送する主要機体として、NASAのアルテミス計画の中核を担い続ける。この方針転換により、短期間の訪問ではなく、人類の持続的な月面滞在に向けた計画が加速する。月面基地は、太陽系のより遠方で必要となる技術の重要な試験場となるだろう。



