欧州

2026.03.26 09:30

無人機を駆使するウクライナ軍の女性兵士 技術革新で戦争は新時代へ

ウクライナ南部ザポリッジャ州の軍事拠点で、無人機の発射準備をする女性兵士。2025年10月6日撮影(Oksana Parafeniuk/For The Washington Post via Getty Images)

ウクライナ南部ザポリッジャ州の軍事拠点で、無人機の発射準備をする女性兵士。2025年10月6日撮影(Oksana Parafeniuk/For The Washington Post via Getty Images)

3月の国際女性史月間は終わろうとしているが、戦争における女性の役割は依然として議論の的となっている。ウクライナでは戦場用ドローン(無人機)の台頭により、性別役割に関する根強い考え方に大きな変化がもたらされた。

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ウクライナの女性退役軍人で女性の権利活動家でもあるマリヤ・ベルリンシカは筆者の取材に対し、「技術は平等化の大きな要因となっている」と語った。無人機操縦士のベルリンシカはその功績により、ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官(当時)から「無人機の母」と呼ばれた。ベルリンシカは、無人機技術が戦争の形態を変えつつあり、新たな形態の戦争では、男性より女性の方が適している可能性があると考えている。

女性に対する根強い偏見

米国のピート・ヘグセス国防長官は最近、ベンチプレスで136キロを持ち上げる動画を公開し、筋力に根ざした軍隊像への自身の強い信念を示した。同長官は「女性を戦闘任務に就かせるべきではない」とする過去の過激な発言の一部を撤回したものの、軍隊では「男性の最高水準」の体力を基準とすべきだと主張し、女性がこの基準を満たせないのであれば「仕方がない」と述べている。

ウクライナでも、かつてはこのような考え方が一般的だった。ウクライナ軍には7万人以上の女性が勤務し、世界でも有数の女性比率を誇るが、戦闘任務に就いている女性兵士はごく少数に限られていた。

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だが、この状況は変わりつつある。無人機は、前線に囲まれた「グレーゾーン」で動くものなら何でも検知して攻撃するため、この区域を通って装備や物資を運び、陣地まで到達するには体力が必要となる。しかし現在では、体力や攻撃性より他の能力の方が重視されるようになっている。ベルリンシカはこう語る。「無人機戦には、体力より集中力、正確さ、そして精神的な強さが求められるため、多くの女性が参入できるようになった。概して女性は精神的な圧力下でも冷静さを保ち、優れた分析力やチームワークを発揮することができるため、極めて有能な無人機操縦士が多い」

無人機を駆使するウクライナ軍の女性兵士

ベルリンシカが共同で立ち上げた団体「ビクトリー・ドローンズ」は、民間のボランティアに対し、無人機戦術のあらゆる側面について訓練を行っている。これには、一人称視点(FPV)無人機の操縦を学ぶための33日間のコースも含まれている。ベルリンシカは、「このコースの優秀な卒業生の多くは女性であり、無人機戦で成功を左右するのは性別ではなく能力であることを証明している」と強調した。

女性無人機操縦士は、独自の地位を築き上げた。ウクライナ軍で女性無人機操縦士として活躍していたカテリナ・トロヤンは昨年6月、ロシア軍の砲撃で戦死するまで、1000回以上の任務を遂行した伝説的な人物だった。このような女性兵士は他にも大勢いる。無人システム部隊には現在、女性のみで構成される無人機部隊「ハーピーズ」が加わっており、女性兵士がまだ少数派の軍内で、女性たちを支える環境を提供している。

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翻訳・編集=安藤清香

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