日本のテレビ局との提携関係
米国のテレビ報道は、ABC、CBS、NBCの三大ネットワークが長らく中立中道を標榜し、ベトナム戦争やウォーターゲート事件などにおいて政権批判も辞さない姿勢を貫いてきた。その後、1980年代に誕生したCNNは、長時間の生中継を強みに、スペースシャトル・チャレンジャー事故や9•11、大統領選などを通じて信頼性を高め、世界的な報道機関としての地位を確立した。
米テレビ報道機関と日本のキー局の関係は、ABCがNHK、NBCが日本テレビ、CBSがTBS、CNNがテレビ朝日、CNBCがテレビ東京(NBCと同一グループの経済ニュースチャンネルで、国内では日経新聞グループとの共同事業)といった形で、長年にわたり提携関係が維持されてきた。
国内のテレビ報道の雄と一目を置かれてきたTBSは、CBSニュースとの関係を重視し、相互に本社へ放送支局を設置するほか、素材交換や取材協力においても緊密な連携を築いてきた。しかし、CBSニュースの編集方針に変化が生じ、報道の偏りや人材流出が続くような状況となれば、新たな提携先の検討を迫られる局面も想定される。
同様に、テレビ朝日もAbemaTVを含め、海外の自社支局が設置されていない地域ではCNNの素材や取材映像への依存度が高い。そのため、仮にパラマウントがCBSで見られたような変化をCNNにも及ぼすことになれば、提携の見直しを迫られる可能性もでてくる。
問われる国際報道の質
今回の買収劇の影響は、配信先の変動ではなく、提携関係の揺らぎにより、海外ニュースの供給や取材網といった「報道インフラ」そのものに波及する可能性がある。
米メディアの統治構造が変わるなかで、日本のテレビ局が依拠してきた国際報道の枠組みもまた、再設計を迫られる局面に入る。その変化にどう向き合うかが、日本の国際報道の質を左右することになるだろう。


