ワーナー買収劇の余波が日本にも? ハリウッド再編が日本のテレビ局に突きつける課題

今回の買収劇で、CNNの報道の独立性に懸念が生じている(getty image)

今回の買収劇で、CNNの報道の独立性に懸念が生じている(getty image)

ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(WBD)の買収を巡り、Netflixとパラマウント・スカイダンスが熾烈な競合入札を繰り広げていたが、2月27日、総額約1100億ドルを提示したパラマウントが勝利し、Netflixが約28億ドルの違約金を受け取ることで決着した。では、ハリウッドのメジャースタジオ二社の統合で、日本はどのような影響を受けるのだろうか?


まず注目されるのが、配信プラットフォームにおけるコンテンツ供給の行方だ。『ゲーム・オブ・スローンズ』や『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズなどの作品を配信するワーナー傘下の定額制動画配信サービスHBO Maxについては、U-NEXTでの配信が終了し、パラマウント+を展開するJ:COMやWOWOWオンデマンド、Amazon、Leminoなどへ移行するのではないかとの懸念も当初指摘されていた。

しかし、現時点ではそのような動きは確認されていない。また、スタジオ統合後も映画の劇場公開は従来通り継続される見込みであり、コンテンツ供給の面で大きな変化は起きにくいとみられる。

問われる報道の独立性

一方で、地上波キー局の国際報道体制には、今後大きな影響を与えかねない火種も生じている。

その背景として、Netflixが検討していた買収案では、CNNを含む報道事業は切り離される前提とみられていたが、今回のパラマウントによる統合では、CNNもその傘下に組み込まれる構造となる。

問題なのは、日本ではあまり報道されないが、2025年8月にパラマウントを買収したスカイダンスは、トランプ大統領の支援者として巨額の政治資金を提供してきたオラクル創業者のラリー・エリソンの息子であるデイビット・エリソンが率いる企業である点だ。親子はともに共和党右派のため、トランプ政権に批判的な報道機関に対しても厳しい姿勢を取ってきた。

そして、パラマウント・スカイダンス傘下のCBSニュースに対して、デイビット・エリソンはCBSの報道部門責任者(CBSニュース編集長)に保守系のオンラインメディア「ザ・フリー・プレス」創業者のバリ・ワイスを任命。CBSニュースは長年トランプ政権に対して容赦ない追及を続けていたが、ワイス就任以降、政権に批判的な調査報道番組をオンエア直前で差し替えたり、インタビュー番組のキャスターを降板させるなど、編集方針への強い関与が指摘されている。

1950年代に「赤狩り」を主導したマッカーシー上院議員の疑惑を追及し、その終焉に大きな役割を果たしたことで知られるなど、長年「権力に屈しない」調査報道によって信頼と権威を築いてきたCBSニュース。しかし、こうした経営体制の変化に伴い、報道の独立性をめぐる内部批判や著名記者の離脱が相次いでおり、そのレガシーが凋落に向かっている。

この状況を踏まえると、今回の統合によりCNNにも同様の影響が及ぶのではないかという懸念が生じるのは自然だろう。デイビッド・エリソンはCNNの報道に介入しない意向を示しているものの、経営統合後にどこまで独立性が維持されるかは不透明であり、現地でもその経営に危惧を抱く社員や他メディアは少なくない。

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