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2026.03.26 07:30

イランと米国の対立の行方 地域の安全保障を超え、世界経済の問題に発展

イランの首都テヘランで、米イスラエル両軍の攻撃により立ち上る煙。2026年3月2日撮影(Contributor/Getty Images)

経済への影響

中東の混乱は、単なる地域的な小競り合いではない。これは地経学上の大事件であり、世界中に影響を及ぼしている。軍事衝突はペルシャ湾岸地域を越えて拡大しており、イスラエル軍はイランとロシアのドローン(無人機)供給網を断つため、カスピ海沿岸に位置するイラン北部の港湾都市バンダレアンザリーにまで空爆を拡大している。

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各国の中央銀行にとって当面の懸念は、過去数年にわたって続いたような持続的なインフレが再燃する可能性があることだ。原油価格が長期にわたって100ドル台を維持した場合、米国では年末までに消費者物価指数(CPI)の上昇率が3.5%に達する恐れがあり、来年の予測値の中には過去最高となる7.9%に達するという見通しも出ている。

ユーロ圏は深刻な「スタグフレーション」のリスクに直面している。アナリストらは現在、欧州が冬季の在庫不足期に入ることで天然ガス価格が60%急騰することを鑑み、2026年のインフレ率は2.3%になると予測している。

FRBのジレンマ

米連邦準備制度理事会(FRB)は、「中東情勢の推移が米経済に及ぼす影響は不透明」だとの認識を示しつつ、フェデラルファンド金利を3.5~3.75%に据え置くことを決定し、エネルギー価格の高騰によるインフレリスクと労働市場への懸念との均衡を図ろうとしている。

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3月18日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の質疑応答で、FRBのジェローム・パウエル議長は、米国の石油企業は原油価格が長期にわたって高止まりするかどうかを見極めてから生産量を増やすため、短期的には「支出と雇用に若干の下方圧力がかかり、インフレには上方圧力がかかる」との見解を示した。

FRBは現在、2026年後半に0.25%の利下げ、27年に2回の利下げを見込んでいると示唆しているが、原油価格の上昇が続けば、現在の見通しは狂う可能性がある。最大の懸念は、原油価格が大幅に高止まりしたまま経済成長が鈍化する、1970年代のようなシナリオだ。

経済的な課題を超えて

米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦は、地域的な代理戦争を、世界的な影響を及ぼす直接的な対立へと変貌させた。トランプ大統領は主要な海上輸送路の確保とイランの軍事力の制限を強調しているが、アナリストらは、イランが中国やロシアと協調していることが、米国の目標達成を困難にする恐れがあると指摘している。その結果は中東の安全保障だけでなく、国際エネルギー市場や地政学的安定にも影響を及ぼすことになるだろう。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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