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2026.03.26 07:30

イランと米国の対立の行方 地域の安全保障を超え、世界経済の問題に発展

イランの首都テヘランで、米イスラエル両軍の攻撃により立ち上る煙。2026年3月2日撮影(Contributor/Getty Images)

イランの首都テヘランで、米イスラエル両軍の攻撃により立ち上る煙。2026年3月2日撮影(Contributor/Getty Images)

米イスラエル軍がイランに対する合同軍事作戦を開始したことで、同国の神権政治体制は突然の指導者交代に直面している。こうした混乱を受け、中東地域の安全保障や国際エネルギー市場への影響が懸念されている。イランと中国、ロシアとの戦略的関係は、軍事的な力学と国際的なエネルギー資源の流れの双方に影響を及ぼし、状況をさらに複雑化させている。

現在の中東情勢の混乱では、すべての当事者が極めて重大な利害関係を持っている。米国の目的には、イランの核・ミサイル開発計画への対抗やホルムズ海峡における同国の海軍力の制限、同国の代理勢力の破壊が含まれている。

現在の状況では、あらゆる方面に大きなストレスがかかっており、米国のドナルド・トランプ政権はできるだけ早く明確な勝利を収める必要に迫られている。ホルムズ海峡の安全確保に向け、米国は同盟国に協力を求めているが、ドイツ、フランス、英国などの国々はこれまでのところ、関与を限定している。

一方、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、バーレーンなど、ペルシャ湾岸地域の国々は、自国の民間施設やエネルギー施設に対するイランによる度重なる攻撃を非難している。カタール外務省は18日、同国に駐在するイラン大使館の武官らを「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定し、24時間以内の国外退去を命じた。また、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外相は、湾岸諸国の忍耐には「限りがある」と警告した。「イランは近隣諸国との対話には懐疑的で、圧力をかけようとしている。断言できるのは、それはうまくいかないということだ。サウジアラビアは圧力に屈することはない。それどころか、この圧力は逆効果となるだろう。われわれは既に明確に述べているように、必要と判断した場合は軍事行動を取る権利を留保している」

新たな「石油危機」

ロシアと中国は長年にわたりイランを利用し、石油資源が豊富なペルシャ湾から米軍の駐留を排除しようと試みてきた。その結果、現在の直接的な対立が生じた。世界全体の液化天然ガス(LNG)生産量の2割を占めるカタールのラスラファン施設に対するイランによる最近のミサイル攻撃は、市場に大きな混乱をもたらした。

国際指標の北海ブレント原油先物は1バレル110ドルを突破し、米国によるイラン攻撃開始以降、40%近く上昇している。カタールのLNG輸出施設に甚大な被害が生じているとの懸念から、欧州の天然ガス価格は最大で60%上昇した。エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、世界の原油生産量の約19%に当たる日量2000万バレルが現在、輸送不能状態に陥っている。これは史上最大の供給途絶だ。だが、2008年、2014年、2022年の原油価格のピークと比較すると、インフレ調整後の現在の原油価格は低い水準にある。現在の混乱は、石油輸入に依存していない北米や西半球より、中国をはじめとするアジア諸国にはるかに大きな影響を与えている。

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翻訳・編集=安藤清香

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