畑の上に太陽光パネルを設置して、農業と発電を同時に行う営農型太陽光発電の取り組みが広がっているが、国内で初めて、水田の上にペロブスカイト太陽電池を使った発電モジュールを設置することを視野に入れた試みが始まった。ペロブスカイト太陽電池には、従来のシリコン系太陽光パネルにはない利点があり、それが水田と組み合わさったときに、どんな世界が広がるのか期待が持たれる。
積水ソーラーフィルムは、千葉大学、千葉銀行、TERRA、ひまわりグリーンエナジーと共同で、千葉大学柏の葉キャンパス内の水田に、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を使った営農型太陽光発電設備を設置し、3年間にわたる実証実験を開始した。

積水化学工業は、独自の製造技術により、耐久性が課題だったペロブスカイト太陽電池の屋外耐久性を10年相当に延ばし、発電効率も15パーセントに高めることに成功している。今回使われるのは、ペロブスカイト太陽電池の特徴である柔軟性を活かした曲面状のモジュールだ。これでさらに発電効率が高まることになる。ペロブスカイト太陽電池は非常に軽量なので、それを設置する架台も低コストで作ることができる。
営農型太陽光発電は、畑の上に部分的に屋根がかかる形になるので、昨今の温暖化による夏の猛暑や強烈な日光を和らげる働きもある。とくに水田に使用すれば、水の作用で太陽光発電の弱点である温度上昇を抑えることが可能だ。稲は多少日差しが遮られても育つ性質があり、営農型太陽光発電に向いていると言える。しかも、日本において水田は広大な敷地を占めていて、大規模化も期待できる。そこは、山林の無秩序な造成で問題となっているメガソーラーとは大きく異なる。
今回の実証実験では、水田におけるレンズ型モジュールの性能評価、農作業、農作物(稲)の収穫量や品質への影響の検証、温室効果ガス(メタン)発生量への影響の検証が行われる予定だ。
今後は、5者が協力して、農地へのペロブスカイト太陽電池の実装に向けた課題解決を実現し、「再エネの地産地消」に貢献するということだ。



