攻撃の直接被害に加え、海峡封鎖で輸出できない原油が産油国に滞留し、貯蔵能力が限界に近づいているため、サウジアラビアだけで日量約200万バレルの減産を余儀なくされている。湾岸諸国全体の減産量は、イラン攻撃開始直後に日量670万バレルに達し、爆撃が長引くにつれてさらに増加している。
たとえホルムズ海峡の交通が完全に再開されたとしても、いったん停止した生産の回復と必要な設備の修復には時間がかかる。一部設備の修復には数年を要するだろう。
最新分析:原油価格は高止まりが長引く見通し
エネルギー情報分析会社エンベラスが3月24日に発表した最新の分析では、これらの変動要因を考慮した上で、主要銀行の想定よりも「高止まりが長期化する」との予測を示している。
実際、エンベラスの想定する期間ははるかに長い。『100ドル原油の帰還』と題した同社レポートは、「世界的な原油在庫の減少加速と供給見通しの不透明さにより、ブレント原油の平均価格は2026年末まで1バレル=95ドルで推移し、2027年には100ドルになると予測される」と消費者に警告している。
「世界は石油フローに課題を抱えており、在庫が枯渇しつつある」と、エンベラス傘下のエンベラス・インテリジェンス・リサーチ(EIR)でリサーチディレクターを務めるアル・サラザールは指摘する。「石油フローの問題が解決されるたびに、世界は低在庫の状態になる。これが、原油価格の高止まりが長引くという見通しの理由だ。業界再編と厳格な資本規律がシェール業界を再構築する中、米国の供給反応は以前1バレル=100ドルだった時の環境よりもはるかに抑制されたものになると予想される」
これは新たなナラティブ(市場ストーリー)であり、厳しい現実でもある。そして、それは家庭や企業の予算支出項目に直に反映されることになる。ガソリンやディーゼル燃料の小売価格は平素と同じく原油価格に連動し、上昇している。全国のガソリン平均価格は目に見えて値上がりし、トラック輸送・農業・物流に不可欠なディーゼル燃料はさらに急騰している。


