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2026.03.31 16:00

実証から実装へ。愛知発イノベーション戦略2.0の全貌

2026年3月18日、愛知県名古屋市の「中日ホール&カンファレンス」にて、「AICHI INNOVATION CHALLENGE 2026」が開催された。今春、愛知県は地域発のソーシャルイノベーションを生み出す「革新事業創造戦略」を改定。これを契機に、実証フェーズの取り組みを「社会実装」へと加速させていく。


「AICHI INNOVATION CHALLENGE 2026」を主催したのは愛知県だ。現在、同県ではオープンイノベーションやスタートアップを起点としたエコシステムの構築など、2024年秋にオープンした「STATION Ai」を拠点に多様なイノベーション創出を促す複数のプロジェクトが進行している。

本イベントでは、そうした6つの事業が成果を発表。有識者やキープレイヤーによる基調セッションに加え、登壇企業と直接対話できるブース出展、合同交流会(ネットワーキング)などが行われた。

本稿では、その中からA-IDEAスペシャルセッション「愛知発のイノベーションは、次のフェーズへ— 戦略改定の背景とこれから—」の模様をレポートする。

「革新事業創造戦略」はバージョン2.0へ

イベントは、愛知県知事の大村秀章による主催者挨拶から幕を開けた。

「AIの進化やモビリティ革命により産業構造が大きく変化するなか、愛知県が日本経済を牽引し続けるためには、既存産業の強みを生かしつつ、新たな技術やビジネスを生み出すイノベーションが不可欠です。2018年に策定した『Aichi-Startup戦略』と、この度改定する『革新事業創造戦略』を両輪として、国際イノベーション都市への飛躍を目指してきました。本日は6つの事業成果を共有しながら議論を深める場です。ぜひネットワーキングまで参加し、新たな連携を生み出していただきたいと思います」

大村秀章 愛知県知事
大村秀章 愛知県知事

続いて、愛知県経済産業局顧問の柴山政明が、戦略改定のポイントを説明した。

「『革新事業創造戦略』は2022年にスタートしました。あえて“愛知”の名を冠していないのは、ここで生まれたイノベーションを日本、そして世界へ広げたいという意思の表れです。これまでのバージョン1.0では提案プラットフォーム『A-IDEA』を構築しましたが、2.0では事業化・社会実装まで伴走する仕組みへと進化させます。社会課題解決型のイノベーションを継続的に生み出すモデルを、愛知から発信していきます」

柴山政明 愛知県経済産業局顧問
柴山政明 愛知県経済産業局顧問

続くセッションには、愛知県のスタートアップ・エコシステム形成や社会課題解決を牽引するキーパーソンが集結した。

登壇したのは、粟生万琴(LEO代表/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授)、伊藤仁成(地域と人と未来代表/MTG Ventures代表パートナー)、そして古里圭史(リトルパーク代表取締役)の3名。

いずれも、愛知県のスタートアップ・エコシステムや社会課題解決型ビジネスの創出などに尽力しているメンバーだ。また、2026年度からの「革新事業創造戦略」改定に向けて、さまざまな意見を愛知県の行政に届けてきたという。

ファシリテーターは、伊藤達彰。同氏が所属するeiiconは、国内最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」を展開し、企業や自治体などの多様な主体に対してオープンイノベーション支援・地域連携支援を展開しているプロフェッショナルファームだ。

愛知県で生まれる「CIVIC PRIDE」に大きな可能性

ここからは、セッション「愛知発のイノベーションは、次のフェーズへ— 戦略改定の背景とこれから—」における登壇者の発言の要旨を紹介する。最初に語られたテーマは、「なぜ、愛知県は今、『社会実装』を重視する方向に舵を切ったのか」だ。

「『革新事業創造戦略』のもとで展開されてきた『A-IDEA』は、課題を抱える人と、その解決策を持つ人とをつなぐマッチングプラットフォームとして機能してきました。バージョン2.0では、その役割を一歩進め、マッチングにとどまらず、社会実装を力強く後押しする“伴走型の支援プラットフォーム”へと進化します。
イノベーションの実現には、5年、10年という長い時間軸が欠かせません。産業界とアカデミアが集積する愛知の強みを生かしながら、社会課題解決型ビジネスをともに育てていきたいと考えています。0を1に、1を10に、そして10を100へとスケールさせるモデルケースを創出し、日本全国へと広げていきます」(粟生)

粟生万琴 レオ代表/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授(左から2番目)
粟生万琴 レオ代表/武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授(左から2番目)

第二のテーマとして、「これまでの多様な支援事業を通じて見えてきた課題」が挙げられた。

「これからは、課題を抱える地域そのものが“スタートアップ”のように進化していくことが求められます。アイデアを実証し、事業化し、さらにスケールさせて成長へとつなげていく——。現在の愛知県は、まさにそのプロセスの後半に本格的に取り組むべきフェーズに入っています。

産業基盤が整っているという強みを生かしながら、より主体的に、前のめりに挑戦していくことが重要だと考えています」(伊藤仁)

伊藤仁成 地域と人と未来代表/MTG Ventures代表パートナー(写真中央)
伊藤仁成 地域と人と未来代表/MTG Ventures代表パートナー(写真中央)

「これまで『A-IDEA』には、スタートアップに加え、地域の事業会社からも多くの応募が寄せられており、機運は着実に高まっています。ただし、アイデアを事業化し、さらにスケールさせていくには、時間も資金も不可欠です。いわゆる“死の谷”を乗り越えるためには、多様なプレイヤーが協力し合い、支え合う土壌づくりが求められます。そうした環境が整いつつあることに期待しています。

今後は、出口戦略の重要性も一層高まっていくでしょう。例えば、大学発スタートアップを事業会社が吸収合併するような、米国東海岸型のモデルも、この地域から生まれていくことを期待しています」(粟生)

第三のテーマは「今回の戦略改定によって、何を変えようとしているのか」だった。

「ひと言で言えば、『実証の街から実装の街へ』という転換です。実際に社会に実装され、人々の目に触れ、体感されてこそ、はじめてソーシャルインパクトは生まれます。そして、そのインパクトが次の価値創出へとつながるポジティブな連鎖を生んでいく——それが理想です」(伊藤仁)

「実装を実現するには、多様なステークホルダーを巻き込むことが不可欠です。主体的にリスクを取るビジネスオーナーを軸に、地域のさまざまなプレイヤーと連携しながら進めていく必要があります。異なるレイヤー同士が有機的につながること——それこそが、社会実装を具現化するための鍵です」(古里)

古里圭史 リトルパーク代表取締役(写真右)
古里圭史 リトルパーク代表取締役(写真右)

「愛知県に限った話ではありませんが、社会実装によって生まれたソーシャルインパクトの事例を見ると、市民や県民がそれを“自分ごと”として捉え、誇らしげに語るようになる現象が起きています。今後、『A-IDEA』を起点とした社会課題解決型ビジネスを実装していくうえでも、それが“市民や県民の誇り”となるよう、丁寧に周知し、巻き込んでいくことが重要だと考えています」(粟生)

愛知発のプロダクトやサービスに対して、「これ、実は愛知で生まれたんだよ」と自然に語り合える社会へ——。そうした「CIVIC PRIDE(市民や地域への誇り)」を育む起点となるのが、2026年春に実施される「革新事業創造戦略」の改定であるという。

今回の「AICHI INNOVATION CHALLENGE 2026」の会場には、実に多様なプレイヤーが集結していた。愛知県内の自治体や行政機関、商工会・商工会議所、事業会社、スタートアップ、金融機関、支援機関など、その顔ぶれは幅広い。

こうした主体が新たな「革新事業創造戦略」にコミットし、社会課題から生まれたアイデアがインパクトあるビジネスとして実装されていく——その未来は、すでに現実味を帯び始めている。愛知発の「CIVIC PRIDE」がA-IDEAによって日本全国へと広がっていくことに期待したい。

愛知県
https://www.pref.aichi.jp/
A-IDEA
https://a-idea.pref.aichi.jp/
「A-IDEA」の支援フレームワークについての記事はこちら
ものづくり王国・愛知が挑む「イノベーションによる地域課題解決」──革新事業創造戦略の現在地


粟生万琴◎LEO代表取締役、武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部教授。エンジニアとしてソフトウェア開発に従事後、人材TECH企業で新規事業を推進。
エクサインテリジェンス(現・エクサウィザーズ)創業。COOを経て2020年LEO創業。「なごのキャンパス」プロデューサーや豊田合成社外取締役、武蔵野大学教授など多分野で活動。

伊藤仁成◎地域と人と未来 代表取締役、MTG Ventures 代表パートナー。愛知県名古屋市出身。証券会社やスタートアップで投資・IPO業務を経験後、グローバル・ブレインでCVC立ち上げや成長支援に従事。現在は地域と人と未来 代表取締役として、シードファンド運営を通じ起業家と地域課題解決・新産業創出に取り組む。

古里圭史◎リトルパーク 代表取締役、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任准教授。スクウェア・エニックス、デロイトトーマツを経て、飛騨信用組合へ入組。「育てる金融構想」を掲げ、クラウドファンディングや地域キャピタル会社設立、電子地域通貨等新しい金融手法を活用した資金供給や決済の仕組み構築に貢献。

伊藤 達彰◎eiicon 執行役員 東海支社長 地域イノベーション推進本部 本部長。50社超の新規事業創出・オープンイノベーション支援を実施。企業・自治体・金融機関を巻き込み、官民共創の推進およびエコシステム形成支援を担う。地域管掌役員として、地域イノベーションの実装を牽引。

Promoted by eiicon / text by Kiyoto Kuniryo / photographs by Shuji Goto / edited by Akio Takashiro