人生百年時代は、喜ばしいことだけではない。それは、誰もが「転職」を経験し、新たな職場で第二、第三の人生を拓かなければならない時代を意味している。
そこで、計画的な人は、その第二、第三の人生を準備するため、様々な形で「自己投資」を行っているが、その一つの方法が、資格学校に通って司法書士などの様々な専門資格を取ることであろう。
もとより、こうした「自己投資」の戦略を持つことは、これからの時代、すべての人々に求められることであるが、残念ながら、この「自己投資」については、世の中に大きな誤解がある。そこで、本稿では、真の「自己投資」とは何かを論じておこう。
第一に、この「自己投資」において「投資」するのは、自分の持つ「資金」ではなく、「時間」であることを明確に理解すべきである。例えば、数十万円を払って資格学校に通うとき、自分がその学校に通い、勉強するために使う総時間に、自分の時給を掛けて計算するならば、その時間コストの方が授業料よりも圧倒的に高いことが分かるだろう。
第二に、この「時間」の投資方法として、多くの人は、1. 早朝の勉強会、2. 終業後の資格学校、3. 週末のビジネススクール、4. 夏休みの集中講座、5. 日々のスキマ時間でのウェブ学習などを考える。
しかし、実は、時間投資をすべきは、こうした「業務外の時間」ではない。時間投資をすべきは、まず何よりも「業務時間」そのものなのである。
こう述べると驚かれる読者もいると思うが、実は、毎日の「業務時間」とは、「給料」と引き換えに会社に売り渡しているにもかかわらず、心の姿勢一つで「自己投資」に使える便利な資産なのである。
例えば、業務時間中に、商談や会議で、A課長の「営業スキル」を学ぶ、Bマネジャーの「企画センス」を盗む、Cリーダーの「会議ノウハウ」を観察するなど、業務時間とは、様々な実践体験的技能を「無償」で学べる最高の時間なのである。
すなわち、この「業務時間」を、ビジネスの実践体験を通じた自己研鑽に活用することこそが、最も効果的で効率的な「自己投資」の戦略なのであるが、実際、筆者は新入社員の時代、「営業の達人」と評されるT課長の隣席にいたが、日々、このT課長の電話での顧客対応に耳を傾けることによって、実に多くのスキルやセンスを学ぶことができた。
それゆえ、自分の今日あるのは、あの課長のお陰でもあると思うが、一方、「あの課長の部下だったのは、自分だけではなかった」ことにも気がつく。



