国内

2026.04.07 13:30

異質な問題に直面。日本の防衛:地経学研究所の一葉知秋

stock.adobe.com

stock.adobe.com

日本を取り巻く安全保障環境がこれまでにない問題に直面している。中国は台湾への軍事的圧力を強めてきたが、最近では中国国内における軍事政策も予断を許さない。習近平国家主席が中央軍事委員会の制服組幹部を次々に更迭し、ついに制服組トップの張又俠副主席がその職を追われたからである。本更迭劇が、台湾の軍事的統一を急ぐ習と、軍事合理的観点から人民解放軍にまだその準備が整っていないと考える張との意見対立に起因するものとの分析も出てきた。独裁者と軍当局者の間の合理性判断の乖離は軍事的リスクを生じさせる。

昨年の1月、トランプ政権が誕生した。米国が発表した「国家防衛戦略(NDS)」は、対中抑止を優先事項に掲げつつ、中国との「戦略的安定」と「まずまずの平和」を求めるとした。米国にとっての抑止は自国に有利な条件で中国と折り合いをつけることであり、その内容を同盟国が受け入れられるとは限らない。損得勘定に敏感な米政権との交渉に安定性はなく、予断を許さない。NDSは防衛費をGDP比で3.5%支出するとしたNATOの新基準を、その他同盟国も採用することを求めている。そこに日本も含まれる。

ここで日本は、高市首相の台湾有事に関する発言で外交攻勢を強める中国への対応を見据えた、防衛力の実質的な強化につながる手立てを打つ必要があり、それは米国を納得させなければならない。

2022年、岸田内閣時に閣議決定した「安保三文書」は、長射程ミサイル開発や弾薬、装備品の維持整備に多くの予算を充てるものだ。これは、そもそも現有の兵力を維持するうえで足りていなかった予算を充当しつつ、新たな能力を開発するのに費やされた準備期間だった。一方、2026年末までに見直される予定の「新たな三文書」では、長射程ミサイルを含め新たに開発された装備を実際に部隊に配備し、現状十分足りていない戦力構成の抜本的な転換を図るものとなっている。

しかし限られた人的資源のなかでは、陸自のレガシー師・旅団を縮小しつつミサイル部隊を増強するなど、既存部隊を維持したい自衛隊組織や、部隊配備によって経済が支えられている過疎地域にとって、痛みを伴う改革が必要となる。何よりもミサイル部隊や無人機部隊などを増強しなければ、予算規模が積み上がらない。

次ページ > 受け身の議論を続けてきた日本政治

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事