髙橋俊介は2013年1月、cocoを創業した。同社は、「『顧客志向』を当たり前に」をミッションに店舗向けのAI接客SaaS「coco」を展開。従来の電話やメールによる顧客対応業務を単一のプラットフォーム上に集約するもので、店舗スタッフの業務効率の改善や売り上げ拡大に貢献する。顧客とのコミュニケーションはLINE、SMS、メールなど顧客が使い慣れたチャネルを通じて行う仕組みで、メッセージ作成は生成AIが支援。自動車ディーラーや冠婚葬祭業、医療機関など、高単価な接客業を中心に導入が進んでいる。
ファーストライト・キャピタルの大鹿琢也は、25年10月にcocoが総額3億円の資金を調達したシリーズAラウンドにリード投資家として参画した。その理由とは。
大鹿:髙橋さんは、ファーストライト・キャピタルが運営する起業家向けコミュニティ「Thinka」の初期からのメンバーなんです。当社に参画した21年当初、私はその運営に携わっていて、「うちに来ないか」とお声がけいただいたことをよく覚えています。
髙橋:Thinkaはトークイベントが中心のコミュニティなのですが、いつも大鹿さんがいろんな起業家に対して良い問いかけをする姿を見て、ぜひ社員にほしいなと思ったんです。結局、丁重に断られましたが(笑)。
大鹿:そこから間が空いて、24年の秋ごろにシリーズAのご相談をいただいたのですが、髙橋さんは以前よりもすごく自信に満ちあふれていた。実際、ターゲットや戦略が明確に描けていて、このプロダクトはとてつもないインパクトを創出できるのではと思いました。「coco」は、個人がライフイベントのなかで大きな買い物をするときに利用する接客業がターゲット。こうした業態では、今でも直接会って話す、もしくは電話によるコミュニケーションが主流で、例えば、店舗スタッフが平日の日中に電話をかけても、顧客は出られないなど、双方がペインを抱えています。これがcocoを使うと、LINEなどの顧客が慣れたコミュニケーションツール上で、お互いのタイミングでやりとりできるので、すべてがスムーズに処理されていく。加えて店舗の売り上げも伸びるという、より良い未来が見えました。
髙橋:インターフェイスがLINEなどの連絡ツールなので、お客さんは平日の仕事中でも、隙間時間に気軽に連絡ができます。店舗側では、連絡待ちによる残業がなくなったり、リモートワークができるようになったり、数千万円単位で売り上げが増えたという声もあって、接客業務のあり方を変えていけている実感があります。
大鹿:髙橋さんとは毎週、ミーティングしているのですが、この1年で、議論の内容がより抽象度の高い課題に発展してきています。目の前の数字をどうやってつくるのかという具体の細かな話から、長期的に再現性をもってビジョンを達成していくための議論に深化していることは、会社が明確にグロースしている証拠で、すごく刺激的です。



