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2026.03.25 08:30

ホルムズ海峡迂回パイプライン、容量が圧倒的に不足 LNGは代替輸送手段なし

イランとオマーンに挟まれたエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡(FrankRamspott/Getty Images)

イランとオマーンに挟まれたエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡(FrankRamspott/Getty Images)

米国とイスラエルが2月28日にイランへの攻撃を開始すると、ペルシャ湾に位置するエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態に陥った。現在、保険金が支払われているが、その金額は損害額のごく一部に過ぎない。

同海峡を迂回(うかい)する代替ルートの輸送能力は、必要量に対して著しく不足している。ホルムズ海峡に代わる既存の石油輸送ルートは、平常時に同海峡を通過する日量約2000万バレルのうち、せいぜい13~28%を穴埋めできるに過ぎない。楽観的なシナリオでさえ、その上限は3分の1程度にとどまるとみられている。パイプラインへの40年にわたる投資が約束した輸送量と、実際の輸送量との間の乖離(かいり)は、国際エネルギー市場における最大のリスクだ。

ホルムズ海峡を迂回する石油輸送ルートは3つあるが、それぞれに大きな制約がある。サウジアラムコ、アブダビ国営石油会社(ADNOC)、カタール・エナジー、シェル、トタルエナジーズといったエネルギー企業から、トラフィグラやビトルといった商社に至るまで、あらゆる関連企業がまさに今、危機に直面している。

サウジアラビアの東西パイプライン

ホルムズ海峡を迂回するルートの中核を成すのは、サウジアラビアを東西に走るパイプライン「ペトロライン」だ。同パイプラインはサウジアラビア東部アブカイクから紅海沿岸のヤンブー港に延びる全長1201キロの複線システムで、日量500万バレルの原油を輸送している。天然ガス液(NGL)のパイプラインを原油輸送用に転用する措置は、2019年のドローン(無人機)攻撃によりアブカイクで日量570万バレルの生産が停止したことを受けて初めて試験的に導入されたもので、これにより供給能力は同約700万バレルにまで増加する。サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は10日、ペトロラインがフル稼働状態であることを確認した。ヤンブー港の輸出量は約3倍になった。

パイプラインは期待通りの成果を上げたが、ターミナルは期待に応えられなかった。ヤンブーの2つの港湾施設の名目上の積載能力は日量450万バレルだが、戦時下の実際の積載能力は同300万バレル程度にとどまる。潮位の変動により、超大型タンカーの入港は1日2回、各4時間ずつに制限される。船舶追跡データによると、3月の最初の2週間、超大型タンカーの大部分が36時間を超える停泊遅延に見舞われた。

ホルムズ海峡を迂回する他の2つのルート

アラブ首長国連邦(UAE)のハブシャン・フジャイラ・パイプラインはホルムズ海峡を完全に迂回して、UAEの首都アブダビで産出されるムルバン原油を380キロ先のオマーン湾まで輸送する。輸送能力は日量150万バレルで、最大180万バレルまで対応可能だ。中東危機発生前の稼働率は71%だった。余剰輸送能力は44万~73万バレルだ。しかし、これはADNOCにとっては重要だが、国際市場にとっては意味を持たない。

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翻訳・編集=安藤清香

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