信号の乱れが大沈黙の「説得力のある説明を提供する可能性」
双子の探査機ボイジャー1号と2号からの最新データを受信している科学者は、どの周波数で受信待機するべきかを把握しているが、地球外生命体の宇宙船からの信号を捕捉したいと考えているSETI研究者は、適切なタイミングに適切な周波数で受信待機していることを期待するしかない。科学者はこれまで、主として狭帯域信号に的を絞ってきた。その理由は、銀河系の中心にある超大質量ブラックホール「いて座A*(Sgr A*)」を取り巻く降着円盤のような自然界の天体物理現象に由来する、より帯域が広くて複雑な信号と見分けるのが最も簡単だからだ。
特にSETI研究者が重点を置いているのは、1420~1663メガヘルツ(MHz)の範囲だ。星間ガスに含まれる水素(H)や水酸基分子(OH)がこの周波数域の電波の大半を吸収するため、遠方の恒星やブラックホールからの背景雑音があまりない。この波長域における強力な狭帯域信号は、星間ガスを貫通する(信号強度の一部は失われるが、受信側で検出できるほどの強度は残る)可能性がある。受信側はこの信号が自然界の何かに由来するものではないとかなり確信できるだろう。
だが、SETI研究者が受信待機する対象が狭い周波数域内の強力な信号に限られるならば、一部の信号が見逃されている可能性があると、ガジャールと研究チームは指摘している。SETI研究者がデータ分析に用いているアルゴリズムでは、信号が星間空間を通過する際に生じるような歪みはすでに考慮されているが、発信元の近くにある恒星の影響は考慮されていない。
赤色矮星が予想外の原因に
生命(少なくとも地球から検出できる可能性のある生命)を育んでいる可能性が最も高い恒星の一部は、電波信号を歪ませ、微弱で理解不能な雑音に変えてしまう可能性もまた最も高い。
トラピスト1のような赤色矮星は、生命存在可能な惑星や知的生命体の探索における主要なターゲットとなっている。その理由の1つは、存在数が圧倒的に多いという有利な点があるからだ。赤色矮星は銀河系にある恒星全体の約75%を占めている。おおいぬ座VY星(VY Canis Majoris)のような超巨星は実のところ比較的数が少ない。


