宇宙

2026.03.28 13:00

地球外知的生命探査の「大沈黙」、宇宙天気による電波信号の乱れが原因か

太陽系外惑星から送信された鮮明な電波信号(左の白い波)は、主星の周囲のプラズマ風によって広がり、より幅広の微弱な信号(右の緑の波)になる可能性がある。これにより、広がった緑の波形ではなく鮮明な白の波形を対象とする探査では、知的生命体の信号が見逃される可能性がある(Vishal Gajjar)

太陽系外惑星から送信された鮮明な電波信号(左の白い波)は、主星の周囲のプラズマ風によって広がり、より幅広の微弱な信号(右の緑の波)になる可能性がある。これにより、広がった緑の波形ではなく鮮明な白の波形を対象とする探査では、知的生命体の信号が見逃される可能性がある(Vishal Gajjar)

科学者は60年以上にわたり、地球外知的生命体からの電波信号を探し続けている。だが今までのところ、地球外知的文明探査(SETI)計画の研究者が大沈黙(Great Silence)と呼ぶ、その兆しが全く見られない状況にある。

たとえどこかの太陽系外惑星系にメッセージを送信している地球外生命体が存在するとしても、惑星系の主星から放出される恒星風や恒星フレアが原因で、地球外生命体の信号は地球に到達するはるか前の段階で乱れや歪み(ひずみ)が生じている可能性があるとする最新の研究結果が発表された。

米SETI研究所の天文学者ビシャル・ガジャールと研究チームによる今回の研究結果をまとめた論文は、天文学誌The Astrophysical Journalに掲載された。

電波チェック:地球人よ、信号は聞き取れるか?

ガジャールと研究チームは、太陽系内で宇宙探査機の電波信号に太陽によってわずかに乱れが生じる仕組みに基づき、別の種類の恒星を主星とする太陽系外惑星から送信される電波信号に対して主星からどのような影響がおよぶかを分析するシミュレーションを行った。その結果、宇宙天気(恒星の活動によって起こる惑星近傍の宇宙環境の変化)が原因で、地球外の電波信号が地球に達するずっと前に不鮮明で弱くなっている可能性があることが示唆された。

太陽は穏やかな中年期の星だが、今もなお太陽風と呼ばれる荷電粒子の流れを絶え間なく宇宙空間に放出している。また時折、プラズマ(電離で生じるイオンと電子からなる気体)の塊を吐き出したり、極めて強力なX線や紫外線のエネルギーを爆発的に放出したりする。その結果として発生するのがいわゆる宇宙天気であり、最も激しいレベルになると、GPS衛星の信号を乱したり、地上の短波無線通信を遮断したりする恐れがある。だが、かなり穏やかな宇宙天気でさえも、探査機からの電波信号に影響をおよぼす。荷電粒子の濃密な雲の中を通過する電波信号は最終的に、霧の中のヘッドライトのように拡散されて弱められる。

探査機が宇宙空間で電波信号を送信しようとする場合は通常、単一チャンネル(周波数)での送信に全出力を集中させる。これは特定の波長の電波を送信することを意味する。だが、この信号が例えば特に激しい太陽風の中を通ると、波の一部が縮んだり伸びたりするため、結果的に信号のエネルギーが複数の周波数にわたって拡散することになる。すなわち、もしこの信号をどの周波数で受信できたとしても、最初の段階よりも弱まっていることにより、当初の的を絞った意図的な信号ではないようにますます見えるわけだ。

太陽系内での通信に関しては、この影響が十分小さいため、さほど深刻な問題にはならない。だが、地球の軌道から例えば太陽系外の恒星系トラピスト1(TRAPPIST-1)に向けて信号を送信しようとする場合、太陽の影響でこの信号に歪みが生じることにより、トラピスト1を公転する系外惑星トラピスト1eにある(と仮定した)電波望遠鏡では地球からのメッセージを検出できなくなるかもしれない。SETI研究者にとって残念なことに、この逆も成り立つのだ。

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翻訳=河原稔

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