ものづくりを「ワクワク」する活動へ。情緒的な価値の復権
この3年間で、私たちは13社の企業の商品開発に関わってきました。その根底にあった思いは、シンプルに「ものづくりを面白がる」ということです。
本来、新しいものをつくることはワクワクして面白いはずです。しかし、日々の業務に追われる中で、いつしかその面白みが「作業」に変わり、単なる「生活の糧」へと変質してしまっている現場を多く見てきました。
「クライアントが指示した寸法通りに、寸分の狂いなく納品する」
これはものづくりにおいて当たり前であり、エンジニアリングの世界では絶対の正義です。しかし、その「考える余白」がなくなってしまうことにこそ、現場からワクワクが失われた原因があるのではないでしょうか。
そう考えた私たちは、「ものづくり本来の持つ創造性あふれる活動へと捉え直す」ということをプロジェクトの設計に加えました。デザイナーとの共創を通じて、職人たちは自らの技術の新しい可能性に気づき、目を輝かせるようになりました。
例えば、普段は見向きもされないような金属の端材や、加工工程で生じる独特の模様。それらがデザイナーの視点を通すことで、美しいプロダクトへと生まれ変わります。スペックや効率、コストダウンだけを追い求めるのではなく、そこに込められた職人の熱量やストーリーといった気持ちを揺さぶるような「情緒的な価値」を取り戻したのです。
共感から生まれたこの熱狂は、プロジェクトが終わっても決して消えることのない、強靭な社会関係資本(ソーシャルキャピタル)となりました。彼らは今や、自発的に次のプロジェクトを企て、地域の中で新しい繋がりを生み出し続けています。
あなたの組織の境界線はどこにありますか?
協業は目的を達成すれば解散するかもしれませんが、共感から始まる共創は、互いの存在意義を認め合うことで、簡単には解消しない深い繋がりを生み出します。生野区での3年間は、まさに「コミュニティ資本主義」の小さな、しかし確実な実践でした。
効率化や合理化の波の中で、私たちは「面白がる」という最強の原動力を忘れていないでしょうか。無知であることを恐れず、遊び心を持って境界線を越えていくこと。それこそが、停滞した状況を打破する鍵になります。
あなたの組織の境界線はどこにありますか?
その境界線を少しだけ曖昧にし、異質なものと「和える」ことで、忘れかけていたワクワクを取り戻すことができるのではないでしょうか。


