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2026.03.27 13:30

AIで代替レシピ開発 ジェフ・ベゾスが認めたユニコーン、NotCoが進める食品業界革命

NotCoを率いるマティアス・ムチニック(Photo By Ramsey Cardy/Web Summit via Sportsfile via Getty Images)

NotCoを率いるマティアス・ムチニック(Photo By Ramsey Cardy/Web Summit via Sportsfile via Getty Images)

サンフランシスコを拠点とするフードテック企業NotCoは、ジェフ・ベゾスやダニー・マイヤーをはじめとする有力投資家の支援を受けている。チリ出身の起業家マティアス・ムチニックが率いる同社は、コカ・コーラやクラフト・ハインツ、フェレロなどの大手食品企業向けに代替レシピを生み出してきた。こうした変革への需要は、いまも拡大を続けている。

イタリアの菓子大手フェレロは、ヌテラやキンダーチョコレートなどの製品向けに、年間3万以上の原料の配合パターンを使い分けている。この複雑さが、配合の見直しを困難にしていた。そこで同社は、2024年にカカオ価格が急騰したことを受け、サンフランシスコに拠点を置くフードテック企業NotCoと協業を開始した。同社のソフトウェアは、味や食感、風味を損なうことなく、代替となる原料を見つけ出し、価格変動の影響を抑えられる。

「食品業界では、一つの原料を変えると、他のすべてにも影響が及ぶ。この問題は直線的に解けるものではなく、計算によって解くべきものだ」と、NotCoの創業者兼CEOのムチニックは説明する。

37歳のムチニックは、サンフランシスコとサンティアゴを行き来しながら、食品業界の「問題解決役」として存在感を高めてきた。NotCoは、OpenAIが設立された2015年から構築してきたAIプラットフォームを用い、乳製品や肉を原料とする食品の植物由来の代替品を開発している。過去4年間で同社は、クラフト・ハインツとの合弁事業を通じて、マカロニ&チーズやクラフト・シングルス、オスカー・マイヤーのソーセージなど、30種類の新製品を開発してきた。

「私たちは、食品業界の大手ブランドが抱える最も複雑な課題を解決する、頼れる存在になっている」とムチニックは語る。

食品分野を代表するAI企業

ジェフ・ベゾスやロジャー・フェデラー、タイガー・グローバル、Lキャタルトン、Kaszek Ventures(ラテンアメリカを拠点とする最大級のベンチャーキャピタル)などの投資家が出資するNotCoは、食品分野における最大規模のAI企業に成長した。同社のAI事業は昨年、300%の成長を記録し、年間売上高は推定約7500万ドル(約119億円)に達している。

これまでに4億2500万ドル超を調達した同社の評価額は、15億ドル(約2380億円)に達している。ムチニックは、今後数年間は追加の資金調達が不要だと述べているが、仮に新たな調達を実施すれば、AIブームを背景に、評価額はさらに大きく上昇する可能性がある。現在の市場水準では、売上高に対して20倍を大きく上回る倍率で評価される可能性もある。ムチニックは現在も筆頭株主であり、その価値が少なくとも3億ドル相当に達する約20%の株式を保有している。

NotCoは2年前、事業を2つの部門に分割した。1つは、推定粗利益率が70%のAI企業向けソフトウェア事業で、すでに収益性を確保している。もう1つは、ヴィーガンミルクやマヨネーズなどの自社食品ブランドを展開する消費者向け事業で、自社のAIモデルで何が可能かを示す役割を担っている。

消費者向け事業は、現時点では赤字ながら黒字化に近づいており、約130種類の製品を展開しながら、年率30%前後で成長を続けている。製品は主にブラジルやメキシコ、チリ、アルゼンチンなどの中南米で販売されている。顧客は、中南米7カ国のバーガーキングの店舗で、NotCoの「NotBurger」「NotChicken Nuggets」「NotChicken Burger」を購入できる。売れ筋は、乳製品を使わないNotMilkのほか、無糖または高タンパクのプロテインバー、各種の代替肉製品だ。

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翻訳=上田裕資

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