代替タンパク質分野の競争が激化する中、NotCoは店頭でOatlyやImpossible Foods、Beyond Meatといった新興ブランドと競合しながら、資金調達を続けた。2021年にムチニックは、さらに2件の調達を実施した。その一つは、ダニー・マイヤーのUnion Square Hospitality Groupの関連会社であるEnlightened Hospitalityからの1000万ドルで、さらにシリーズDで2億3500万ドルを調達した。ビリオネアが支援するTiger Global Managementが主導したこのラウンドで、NotCoの評価額は初めて10億ドルを突破した。
「私たちはAIの開発を継続する必要があった。消費者向けブランドに資金をすべて投じるわけにはいかなかった」とムチニックは振り返る。
スタンフォード大学ビジネススクールのジョナサン・レバブ教授は、創業初期からムチニックに助言を行ってきた。同教授は、資金調達の手腕だけでなく、「食品の配合を初めて完全にコンピューターに任せられるようにしたこと」こそが彼の最大の成果だと指摘する。それは「従来のやり方を根本から変えるものであり、この分野の方向性そのものを決定づける革新だ」とレバブ教授は述べている。
NotCoは現在、31件の特許を保有しており、そのうち13件は米国で取得したAI技術に関するものだ。ただし同社の真の競争優位性は、AIモデル「Giuseppe」が新規参入のスタートアップよりも大きく先行している点と、顧客企業や自社の研究開発を通じて蓄積してきた膨大なデータにある。
同社は今後、そのデータをより多くの大手食品企業で活用するとともに(NotCoは世界の食品大手上位20社のうち7社と提携している)、既存顧客との取り組みを拡大していく方針だ。
「私たちは、イノベーションからマーケティング、販売、サプライチェーンに至るまで、本来は分断されていたプロセス同士をつなぐモデルを構築した。これは、企業の意思決定の大半を集約する中核的なオペレーティングシステムになり得る」とムチニックは語った。


