初期診療の一部業務に限り、半年以内にも実用化が実現する可能性か
バルサフスキーは、AIドクターの実用化は想像よりも早く訪れると考えており、初期診療の一部の業務に限れば、早ければ半年以内にも実現する可能性があると見ている。ユタ州では、スタートアップのDoctronicが限定的な処方の更新にAIを活用する実証をすでに進めており、AIが医師として機能する初の具体例となっている。テキサス州やアリゾナ州でもAIの活用を検証するプログラムが立ち上がっている(ただし、AIドクターの導入を正式に発表した州はまだない)。
連邦政府も、医療分野に特化したムーンショット型の資金プログラムARPA-Hを通じて、心血管医療向けのAI開発を各チームに呼びかけている。CertumaもARPA-Hに応募するとともに、ユタ州と「比較的取り組みやすい疾患から導入する方法」について協議を進めていると、クエスタは語る。
将来は自律型ロボットとの組み合わせる構想を描くが、当面の焦点は臨床試験
バルサフスキーは、診断や処方にとどまらず、CertumaのAIソフトウェアと自律型ロボットを組み合わせるという、大きな構想も描いている。例えば、患者がブースに入るだけで画像診断や採血を自動で受けられる仕組みや、薬局でヒューマノイドロボットが医療行為を行うといった形だ。ただし、これはまだ先の話だ。
より当面の課題として、CertumaはAIの開発を進めながら、臨床試験の進め方を検討している。「FDAもこの分野をどう扱うべきか、まだ検討を続けている段階だ」と、同社の最高財務責任者(CFO)で、メディケア・メディケイドサービスセンターで最高執行責任者を務めた経験を持つジェニ・メインは語る。彼女は、承認に向けた現実的なアプローチとして、機能ごとに分割して申請を行い、リスクを明確にするために可能な限り多くの臨床データを蓄積する進め方が有力だとみている。
バルサフスキーは、トランプ政権がAIドクターに対して比較的前向きな姿勢を示す可能性があるとも見ている。彼は、規制当局の承認取得には数億ドル(数百億円)規模の資金が必要になり、そのためには投資家からの資金調達が不可欠になると見ている。ただ、それでも承認を得ることこそが競争優位を築く鍵になると考えている。
「この分野は激しい競争になる。私たちは最も優れたAIを作り、かつ最初に承認を得たい。承認そのものが最大の参入障壁になる」と彼は語った。


