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2026.03.25 12:00

成功している人があえて無視する2つの「生産性向上のルール」

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SNSで生産性に関するコンテンツが爆発的に増えてからというもの、「もっと多くのことをこなす」よう促す助言があふれかえっている。予定を詰め込み、日が昇る前に起き、これまで以上に成果を出すために人生のあらゆる側面を最適化するよう促している。その結果、私たちは仕組みを作り、習慣を積み上げた。地道に「努力」し、成果が出ることを切実に求めてきた。それでも、多くの人はすべてのルールに従った結果、以前よりも疲弊し、効率が落ちてしまった。

むしろ研究が示しつつあるのは、最も生産性の高い人たちは他の人より多くのルールに従っているわけではないということだ。いくつかの重要な点において実際には少ないルールに従っている。彼らは広く説かれているルールの中に自分の脳の働き方に逆らって静かに作用しているものを識別する術を身につけ、そうしたルールに従わないだけの自己認識を備えていた。

特に見直すべきルールが2つある。

ルール1:1日すべての時間でパフォーマンスを最大化しようとする

人間の脳は一定の出力がずっと保たれるような仕組みにはなっておらず、周期的に機能している。レム睡眠の発見で知られる睡眠研究者ナサニエル・クライトマンは「基礎的休息活動周期(BRAC)」を特定した。これは約90〜120分のリズムで、睡眠だけでなく覚醒時の認知パフォーマンスにも影響する。

このサイクルのピークでは集中力が高まり、生産性も上がる。一方、谷の部分では脳は回復を必要としているサインを出すことが多い。このサインを無視して働き続けても、精神力が鍛えられるわけではない。むしろ、その後のすべての質を下げてしまう可能性が高い。

意図的な休息がパフォーマンス向上の手段だという証拠は説得力がある。心理学者アンダース・エリクソンが1993年に行った、西ベルリン音楽アカデミーの一流のバイオリニストに関する画期的な研究では、エリクソンの研究について一般に語られる際によく見落とされがちな事実が明らかになった。

一流のバイオリニストたちは1日平均3.5時間の練習を60〜90分のセッションに分けて行っていることをエリクソンは突き止めた。そして、一流とまではいかない他のバイオリニストよりも睡眠が毎日1時間長く、週に約3時間の昼寝もしていた。つまり、一流のバイオリニストたちは単に多く演奏していたのではなく、より多く休んでもいた。しかもそれは仕事の一環として意図的かつ戦略的に行われていた。

歴史を振り返れば、生産性を高めるために仕事に起きている時間のすべてを費やすことをあえて選ばなかった人たちの成功例が数多く見られる。

例えばマヤ・アンジェロウは毎朝自宅を出て、絵など気が散るものがない質素なホテルの部屋で午後早い時間までレポート用紙に執筆していた。それからアンジェロウは昼食時に帰宅し、執筆のことを完全に頭から切り離して夕食の準備や夫とのやり取りなどに注意を向けた。アンジェロウは30冊以上のベストセラーを生み出し、大統領自由勲章も受賞している。

これは、アンジェロウの成果が延々と働き続けた結果ではなく、かなりの集中と完全な切り替えの産物だったことを示している。オンとオフは同じくらい意図的なものだった。

チャールズ・ダーウィンも同様だった。ダーウィンは1日のうちに集中作業を行う短い時間を複数設け、その合間に3回散歩をしていた。ダーウィンの最も重要なアイデアの多くは机に向かっているときではなく、歩いているときに生まれた。

つまり、休憩は単なる「あったらいいもの」ではない。仕組みになくてはならない部分だ。休憩を何かを終えたときのご褒美と考えるのは誤りであり、最高の認知パフォーマンスに必要なものを誤解している。

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翻訳=溝口慈子

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