フランス人が実際にチーズと飲み物をどう合わせているかを理解したいなら、ソムリエのように考えるのをやめ、地図のように考えることだ。
フランスでは、チーズはブドウ品種やタンニンのチャート、ソフトかハードかといったルールで合わせることが多いわけではない。代わりに基準になるのは「近さ」だ。チーズの近くで育つものが、そのチーズとともに注がれる。結果はルールブックというより、何世紀にもわたる農の営みが形づくってきた常識のように感じられる。
フランス流にチーズと飲む方法はこうだ。地域に従う。
ノルマンディー:リンゴ、クリーム、そしてシードル
ノルマンディーでは、牛の数がブドウの木を上回る。ブドウではなくリンゴがこの地の風景を特徴づけている。
この地域のチーズは濃厚でクリーミーなものが多く、ウォッシュタイプの外皮を持つものも多い。カマンベール・ド・ノルマンディー、ポン・レヴェック、リヴァロがその代表だ。
そのクリーム感を断ち切るのはシャルドネではない。シードルである。
ノルマンディーの辛口シードルは、酸と泡、ほのかな苦味が脂を切り、同時にチーズが生まれる果樹園の風景とも調和する。
ロワール渓谷:ヤギのチーズとキリッとした白
ロワール渓谷はヤギの国だ。
クロタン・ド・シャヴィニョルやヴァランセといったチーズが見つかる。これらは若いうちは酸味があり、チョーキーで、ハーブのニュアンスが明るく立つが、熟成が進むにつれナッティさが増していく。
そのすぐ隣のブドウ畑には、サンセールやプイィ・フュメがある。
ワインはチーズを映し出す。高い酸、柑橘、青いハーブ、ミネラル感。同じ土壌に形づくられた2つのものが会話しているように感じられる。
ブルゴーニュ:ウォッシュタイプの外皮と骨格のある白
ブルゴーニュでは、チーズは大胆で、ワインは精密だ。
よく知られるエポワスはマール・ド・ブルゴーニュで洗われ、熟成のピークではとても柔らかくなる。そこにコンテが加わる。コンテはナッティでしっかりとした食感があり、数カ月から数年熟成される。
本能的にはブルゴーニュの赤に手が伸びるかもしれない。だが地元の人は、シャブリや他のブルゴーニュの白を注ぐことが多い。
塩味を感じる高酸のシャルドネがクセや脂を切り、ワインの質感がチーズの奥行きと釣り合う。
アルザス:強い香りのチーズとアロマティックな白
ドイツ国境に接するアルザスでは、チーズがより主張を強める。
マンステールは、強烈な香りと風味で知られる。
そこで登場するのがゲヴュルツトラミネールとリースリングだ。
これらのワインは香りが非常に強く、ときにほのかな甘みを帯び、スパイスやフローラルの香りをたっぷり含む。その強さがマンステールに負けず、酸が全体を生き生きと保つ。
アルプスとジュラ:山のチーズと酸化熟成の白
ジュラとフランス・アルプスでは、チーズは寒さに備えるようにつくられている。
ボーフォール、アボンダンス、そして長期熟成のコンテを思い浮かべてほしい。これらのチーズは密度が高く、旨味があり、ナッティだ。
地元のワインであるヴァン・ジョーヌもまた、酸化熟成によるナッティさと旨味を備え、酵母の膜の下で熟成される。
ヴァン・ジョーヌのクルミのような香味と塩味は、熟成した山のチーズにごく自然に呼応する。
フランス南西部:羊乳チーズと素朴な赤
ピレネーとフランス南西部では、羊が主役だ。
オッソー=イラティはしっかりした食感でバターのようにまろやか、わずかに甘みがある。ブラックチェリーのジャムと一緒に出されることも多い。
タナを主として造られるマディランの地元ワインは、色が濃く骨格がしっかりしている。
ここでは赤ワインが理にかなう。羊乳チーズの脂と甘みがタンニンを和らげ、ワインの骨格がペアリングの均衡を保つ。
本当の教訓:場所で合わせる
フランス人は通常、特定のチーズにどのワインが合うかを尋ねない。彼らが問うのは、そのチーズがどこから来たのかだ。
リンゴの国のものなら、シードルを飲む。
ヤギの国のものなら、キレのある白ワインを飲む。
山のものなら、ナッティで酸化熟成のワインを飲む。
羊の国のものなら、力強い赤を飲む。
それはチャートではない。地理である。



